睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群(SAS;Sleep Apnea Syndrome) は、眠っている間に呼吸が何度も止まる、あるいは浅くなる病気です。呼吸が止まるたびに脳や体が酸素不足に陥り、眠りが浅くなります。
その結果、日中の強い眠気・集中力の低下・頭痛などを引き起こし、放置すると高血圧・心疾患・脳卒中・糖尿病などの重大な合併症を招くことがあります。
主な種類
| 種類 | 特徴 | 主な原因 |
|---|---|---|
| 閉塞型 | 上気道(のど)がふさがって呼吸が止まる。最も多いタイプ。 | 肥満・顎の形・扁桃肥大など |
| 中枢型 | 呼吸を指令する脳の働きが一時的に低下して起こる。 | 心不全・脳疾患など |
| 混合型 | 上記2つの要素が混ざっているタイプ。 | まれ |
主な症状
・大きないびき
・睡眠中の呼吸停止(家族に指摘されることが多い)
・日中の強い眠気・倦怠感
・起床時の頭痛・口の渇き
・集中力や記憶力の低下
・夜間頻尿
眠っているのに疲れが取れない、朝スッキリ起きられないなども典型的なサインです。
診断
SASの診断には、睡眠中の呼吸状態を測定する検査が必要です。
| 検査名 | 内容 |
|---|---|
| 簡易検査(アプノモニター) | ご自宅で装置を装着し、酸素濃度・呼吸の状態・いびきを測定します。 |
| 精密検査(ポリソムノグラフィー) | 医療機関で、脳波・筋電図・心電図・呼吸状態などを総合的に測定します。 |
検査では、1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数を示すAHI(Apnea-Hypopnea Index)という指標を用いて重症度を判定します。
| 重症度 | AHI(1時間あたりの無呼吸・低呼吸回数) |
|---|---|
| 軽症 | 5〜15回未満 |
| 中等症 | 15〜30回未満 |
| 重症 | 30回以上 |
治療
SASの治療は、原因や重症度に応じて行います。
1. 生活習慣の改善
・減量(体重を5〜10%減らすだけでも効果あり)
・アルコールや睡眠薬を控える(筋肉が緩んで気道がふさがりやすくなる)
・横向きで寝る習慣をつける
2. CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)
中等症以上の閉塞型SASに対して行う最も一般的な治療です。
睡眠中に鼻マスクを通して空気を送り、気道を常に開いた状態に保ちます。

CPAPを使用することで、以下の効果が期待できます:
・無呼吸が改善し、いびきが減る
・日中の眠気が軽減
・高血圧・心疾患などのリスクが低下
3. マウスピース(口腔内装置)
軽症の方やCPAPが合わない方に適用されます。
下あごを少し前に出した状態で固定し、気道を広げます。
4. 手術療法
扁桃肥大や鼻の構造異常が原因の場合、耳鼻咽喉科で外科的治療を行うこともあります。
日常生活の注意点
・禁煙・節酒を心がける
・肥満の改善が特に重要
・睡眠のリズムを整える(十分な睡眠時間と規則的な生活)
・車の運転や危険作業前には十分な睡眠を取る
よくある質問(FAQ)
Q1. いびきがあると必ずSASですか?
A. いびきがあってもすべての人がSASとは限りません。ただし、「いびきが止まり、再び大きく息を吸う」ような場合は要注意です。
Q2. CPAPを使うと治りますか?
A. CPAPは根治治療ではありませんが、使っている間は症状を確実に改善します。継続的な使用が大切です。
Q3. 検査は入院が必要ですか?
A. 簡易検査はご自宅で可能です。重症が疑われる場合のみ、1泊入院で精密検査を行います。
当院での対応
・自宅で行える簡易検査の実施
・結果に基づいた専門的治療(CPAP療法の導入・フォロー)
・生活習慣や体重管理のサポート
睡眠中のいびき・呼吸停止を指摘された方、日中の眠気に悩んでいる方は、早めにご相談ください。









