肺炎球菌
肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)は、肺炎だけでなく中耳炎、副鼻腔炎、菌血症、髄膜炎なども引き起こし得る細菌です。特に高齢者や基礎疾患を持つ方では、肺炎が重症化し入院・死亡に至るリスクが高まるため、ワクチンによる予防が非常に重要です。
参照:肺炎予防.jp
ワクチン接種の目的
肺炎球菌ワクチンは、以下の目的で接種されます。
・肺炎球菌による感染発症を防ぐ
・発症した場合でも重症化・入院のリスクを下げる
・高齢者・持病ありの方など、リスクの高い方の予後改善をサポートする
主な4種類の肺炎球菌ワクチン比較
| ワクチン名 | 形式/価数 | 主な特徴 | 適応・対象 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| ニューモバックス® | 23価莢膜ポリサッカライドワクチン | 多くの菌型をカバー(23種) | 高齢者/定期接種対象の場合あり | 国内で最も実績があるタイプ |
| プレベナー® | 20価結合型ワクチン | 結合型で免疫獲得効果が強い設計。 | 成人・小児用それぞれあり | ニューモバックスに併用して使用 |
| バクニュバンス® | 15価結合型ワクチン | 新しく15血清型に対応。結合型で免疫応答強化。 | 成人(高齢者・基礎疾患あり) | ニューモバックスに併用して使用 |
| キャップバックス® | 21価結合型ワクチン | 21血清型をカバー。他のワクチンよりも広範囲をカバー。 | 成人(高齢者・基礎疾患あり) | 他のワクチンの範囲外の血清型をカバー |

PPSV23:ニューモバックス®︎
PCV13・PCV20:プレベナー®︎(13価、20価)
PCV15:バクニュバンス®︎
PCV21:キャップバックス®︎
接種の考え方・スケジュール
・定期接種として公費助成の対象となっているのは「ニューモバックス®︎」です。
・任意接種(自費)では上記4種のどれを使うか、接種歴・年齢・基礎疾患・接種間隔などを考慮して選択されます。具体的には以下の表の通りの接種を提案することになります。

*上の血清型カバー表、フローチャートは日本感染症学会の「65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第7報)2025年9月30日:日本呼吸器学会 感染症・結核学術部会ワクチンWG/日本感染症学会ワクチン委員会/日本ワクチン学会・合同委員会」を引用しています。
・例として、まず結合型(例:プレベナー®など)を接種し、一定期間あけて多価型(ニューモバックス®)を接種する戦略もあります。
・2025年8月から使用可能となったキャップバックス®は成人用の新しい選択肢として注目されています。他のワクチンとは違った血清型をカバーしているので、ニューモバックスと組み合わせることで最も広範囲をカバーすることができます。
副反応・注意事項
どのワクチンも比較的安全性は高く、主に以下のような副反応が報告されています:
・接種部位の痛み・腫れ・赤み
・発熱・倦怠感・筋肉痛・頭痛などの全身症状
・ごくまれにアレルギー反応(接種後30分間は医療機関で観察)
接種歴や直近に同種ワクチンを打ったかどうかを必ず確認することが重要です。
当院でのご案内
当院では、上記4種類の肺炎球菌ワクチンについて、各ワクチンの特徴や接種歴を踏まえたうえで、最適な接種プランをご提案いたします。
また、自治体助成の対象となるかどうかも確認しながら、費用と接種タイミングについて丁寧にご説明します。具体的な接種をご希望の場合は、事前にご予約のうえご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. どのワクチンを受けたら良いか迷っています。
A. 年齢・既往症・接種歴・自治体の助成制度などにより最適な選択が変わります。医師と相談して「これまで何を接種済か」「次に何を打つべきか」まで確認することが望ましいです。
Q2. 定期接種じゃないワクチンを打っても意味がありますか?
A. はい。任意ワクチンであっても、肺炎球菌感染の予防・重症化防止には有効です。市町村が定める助成対象以外でも接種を検討される価値があります。
Q3. 他のワクチン(インフルエンザ・COVID-19)と同時に打てますか?
A. 多くの場合問題ありませんが、接種スケジュールや体調・持病によって医師の判断が必要です。
Q3. ニューモバックス®︎だけなら5年毎にずっと公費で接種できますか?
A. 公費での肺炎球菌ワクチン接種は、初回のニューモバックス®︎のみ対象です。5年後に定期接種される際には、自費負担になります。








