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自律神経失調症と起立性調節障害の違い

自律神経失調症と起立性調節障害の違い

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この記事の監修医

薬師堂かたおかクリニック 院長 片岡 尚之(かたおか たかゆき)

平成27年 大阪医科薬科大学卒業/同大学病院 初期研修修了/同大学 呼吸器外科 後期研修修了/市立ひらかた病院 呼吸器外科 医長・救急科 医長

呼吸器外科・救急を中心に経験を積んだ「かかりつけ医」として、立ちくらみ・動悸・朝起きられないといった症状に対し、血圧測定や血液検査など全身状態のチェックを行っています。また、思春期のお子さまで起立性調節障害が疑われる場合は新起立試験や生活指導を行い、精神的な要因が強く疑われる場合や、学校との連携を含めたより専門的な対応が必要と判断した場合は、連携する小児科・心療内科・脳神経内科へおつなぎしています。

最終更新日:

「立ちくらみがする」「朝、なかなか起きられない」「動悸がして疲れやすい」――こうした症状は、大人に多い自律神経失調症と、思春期の子どもに多い起立性調節障害(OD)のどちらでも見られます。しかし、名前は似ていますが、原因や診断基準、治療の進め方は異なり、特にお子さまの場合は「怠け」「気持ちの問題」と誤解されやすい点にも注意が必要です。

長岡京市の薬師堂かたおかクリニックでは、かかりつけ医として問診・血圧測定・血液検査から全身状態を確認し、必要に応じて専門機関と連携しながら対応しています。「何科を受診すればいいか分からない」という場合は、まずはかかりつけの内科に相談してみるとよいでしょう。

起立性調節障害・自律神経失調症のセルフチェック

日本小児心身医学会の診断基準では、以下の11項目のうち3つ以上(症状が強い場合は2つ以上でも)当てはまる場合、起立性調節障害または自律神経失調症の可能性が考えられます。そのため、特にお子さまで朝の症状が強い場合は、一度ご相談ください。

  • 立ちくらみがある
  • 気分が悪くなることがある
  • ひどくなると失神する(気を失う)ことがある
  • 朝なかなか起きられない
  • 頭痛がある
  • 腹痛を繰り返す
  • 動悸や息切れがする
  • 午前中は調子が悪いが、午後になると回復する
  • 食欲不振が続いている
  • 乗り物に酔いやすい
  • 顔色が青白い

自律神経失調症と起立性調節障害の違い

自律神経失調症とは

自律神経失調症とは、交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで、めまい・動悸・倦怠感・頭痛など多様な身体症状が現れる状態です。また、厚生労働省の「こころの耳」では「明らかな身体の病気がないにも関わらず、自律神経のバランスが崩れていると感じることによる不調」と説明されています。つまり、自律神経失調症は日本で独自に定着した呼び方で、国際的な診断基準を持つ正式な病名ではなく、他の病気を除外したうえでつけられる診断(除外診断)という特徴があります。

起立性調節障害(OD)とは

起立性調節障害は、立ち上がったときに重力で血液が下半身にたまり、自律神経がうまく働かずに血圧や心拍数の調整がうまくいかなくなることで、立ちくらみ・めまい・動悸・朝起きられないなどの症状が起こる病気です。自律神経失調症と違い、日本小児心身医学会による診断基準と検査手順が明確に定められている点が大きな違いです。加えて、思春期前後の10~16歳に多く発症し、特に女子に多い傾向があります。

それぞれの原因

自律神経失調症の原因

  • 体質的要因:もともと自律神経のバランスが乱れやすい体質
  • ストレスによるもの:不規則な生活、過労、人間関係などの精神的ストレス
  • 他の病気に伴う精神症状によるもの:更年期障害やうつ病などに伴って自律神経症状が現れる場合

起立性調節障害の原因

  • 循環動態の破綻:起立時に脳への血流が一時的に不足する
  • 自律神経機能の低下:血圧・心拍数の調整がうまく働かない
  • 思春期特有の要因:急激な身体的成長にホルモンバランスの変化が追いつかない
  • 体質・遺伝的要因:家族内での発症が少なくなく、特に母親が思春期に同様の症状を経験していたケースが目立つ
  • その他の要因:睡眠不足、水分・塩分摂取不足、運動不足、心理社会的ストレスなど

それぞれの症状の特徴

立ちくらみ・めまい・動悸・倦怠感などは両疾患に共通してみられますが、起立性調節障害では特に「午前中に症状が強く、午後から回復する」という日内変動が特徴的です。

症状自律神経失調症起立性調節障害
立ちくらみ・めまいありあり(起立時に強い)
動悸・息切れありあり
頭痛・腹痛ありあり
倦怠感・疲れやすさありあり
症状の日内変動目立たないことが多い午前中に強く、午後に軽減(特徴的)
好発年齢成人に多い10~16歳の思春期に多い

診断方法

自律神経失調症の診断

自律神経失調症には確立した診断基準がないため、血液検査や心電図などで甲状腺疾患や心疾患、貧血といった他の病気がないことを確認したうえで診断されます(除外診断)。

起立性調節障害の診断

まずセルフチェック項目のうち3つ以上(強い症状なら2つ以上)に当てはまるかを確認し、貧血や心疾患、てんかんなどの神経疾患、甲状腺などの内分泌疾患といった基礎疾患を除外します。そのうえで「新起立試験」を行い、起立直後性低血圧(INOH)、体位性頻脈症候群(POTS)、血管迷走神経性失神(VVS)、遷延性起立性低血圧(DeOH)の4つのサブタイプを判定します。

治療

自律神経失調症の治療

生活環境の調整、十分な睡眠・食事などの非薬物療法に加え、症状に応じた対症療法(動悸には抗不安薬、不眠には睡眠薬、胃腸症状には胃腸調整薬、めまいには抗めまい薬、痛みには鎮痛薬など)、自律神経調整薬や漢方薬の使用、必要に応じた精神療法(うつ病や不安症を合併している場合など)を組み合わせて行います。

起立性調節障害の治療

非薬物療法(生活指導)が最優先とされます。たとえば、規則正しい生活、水分・塩分の十分な摂取、下半身の筋力を高める運動療法に加え、疾病教育(本人・家族が病気を正しく理解すること)や学校との連携も重要です。ただし、症状が強い場合は昇圧剤などの薬物療法を併用することもあります。

日常生活での予防・対策

共通する対策

  • 規則正しい睡眠・食事のリズムを整える
  • ストレスをためこみすぎない工夫をする
  • 急に立ち上がらず、動作をゆっくり行う

起立性調節障害に特化した対策

  • 水分は1日1.5~2リットル、塩分もやや多めに摂取する
  • ウォーキングなど下肢の筋力を高める運動を日常的に取り入れる
  • 夏場や暑い場所など、症状が悪化しやすい環境を避ける
  • 低気圧・雨天時は無理をせず、天気予報を確認して予定を調整する
  • 起立時はまず頭を下げてから、ゆっくり時間をかけて立ち上がる

自律神経失調症・起立性調節障害は何科を受診すればよい?

症状や年齢によって受診先の目安は異なります。

症状パターン受診の目安
成人で、立ちくらみ・動悸・倦怠感などが続く内科(かかりつけ医)
小学生~中学生で、朝起きられない・立ちくらみがある小児科(起立性調節障害の可能性を確認)
高校生で、朝起きられない・立ちくらみがある循環器内科・神経内科・総合内科
気分の落ち込みなど精神的な症状が強い心療内科・精神科
どこに相談すればよいか判断がつかないまずかかりつけの内科で全身状態を確認

どこを受診すべきか迷う場合は、まずかかりつけの内科で血圧測定や血液検査などを受け、他の病気がないかを確認してもらうのも一つの方法です。より専門的な検査・治療が必要と判断された場合は、小児科・心療内科・脳神経内科などの専門機関につないでもらうとよいでしょう。

それぞれの経過(予後)

自律神経失調症の場合

生活環境の調整やストレスの軽減により改善することが多い一方、背景要因が解消されないと慢性化する場合もあります。

起立性調節障害の場合

軽症例では2~3ヶ月程度で改善することが多いとされますが、重症例では2~3年以上かかることもあります。なお、多くは10代前半の好発年齢を過ぎると症状が軽減する傾向にありますが、学校を長期間休むことによる影響が残らないよう、早めの対応と周囲の理解が大切です。

まとめ:2つの疾患の重要な違い

項目自律神経失調症起立性調節障害
診断基準確立した基準なし(除外診断)明確な基準・検査手順あり
好発年齢成人に多い10~16歳の思春期に多い
特徴的な症状多様な全身症状午前中に強く午後に軽減
診断検査他疾患の除外検査のみ新起立試験でサブタイプ判定
治療の中心生活調整・対症療法非薬物療法(生活指導)が最優先

当院での対応

薬師堂かたおかクリニックでは、かかりつけ医として問診・血圧測定・血液検査から全身状態を確認しています。そのうえで、成人の自律神経失調症が疑われる場合は他の病気がないかを確認し、思春期のお子さまで起立性調節障害が疑われる場合は新起立試験や生活指導を行います。そして、精神的な要因が強く疑われる場合や、学校との連携を含めたより専門的な対応が必要と判断した場合は、連携する小児科・心療内科・脳神経内科へ速やかにご紹介しています。

「怠けているだけと思われがちだが、実はつらい」というお子さまの症状についても、ご家族の不安に寄り添いながら診療にあたっています。

よくある質問(FAQ)

自律神経失調症と起立性調節障害は何科を受診すればいいですか?

成人の場合はまず内科(かかりつけ医)へのご相談をおすすめします。小学生~中学生で朝起きられない・立ちくらみがあるといった症状の場合は小児科、高校生の場合は循環器内科・神経内科・総合内科で起立性調節障害の可能性を確認するのがよいでしょう。どこに相談すればよいか迷う場合は、まずかかりつけの内科で全身状態を確認してもらう方法もあります。

起立性調節障害は何歳頃から発症し、何歳頃に治りますか?

思春期前後の10~16歳に発症することが多く、女子にやや多い傾向があります。軽症例では2~3ヶ月程度、重症例では2~3年以上かかることもありますが、多くは10代前半の好発年齢を過ぎると症状が軽減していきます。

起立性調節障害は季節や天気で症状が変わりますか?

はい、季節や天候の影響を受けやすいことが知られています。低気圧が近づく雨の前などに症状が悪化しやすく、また夏場は暑さで血圧が低下しやすいため、症状が強く出ることがあります。天気予報を確認して無理のない予定を立てる、夏場は特に水分・塩分摂取に注意するといった対策が有効です。

子どもが「怠けている」と誤解されがちですが、本当に病気なのですか?

起立性調節障害は、本人の気持ちの問題や怠けではなく、自律神経の働きによって血圧や心拍数の調整がうまくいかなくなる身体的な病気です。朝起きられないのは本人の意思の問題ではないため、周囲の理解と、新起立試験など客観的な検査に基づいた診断・対応が重要です。

起立性調節障害と不登校は関係がありますか?

朝起きられない、午前中に体調が悪いといった症状のために登校が難しくなり、結果として不登校につながるケースがあります。学校を長期間休むことによる影響を防ぐためにも、早めに医療機関を受診し、学校とも情報を共有しながら対応することが大切です。

自律神経失調症は正式な病名ではないと聞きましたが本当ですか?

その通りです。自律神経失調症は日本で独自に定着した呼び方で、国際的な診断基準を持つ正式な病名ではありません。血液検査や心電図などで他の病気(甲状腺疾患や心疾患など)がないことを確認したうえで診断される「除外診断」という位置づけです。

新起立試験とはどのような検査ですか?

横になった状態と起立した状態での血圧・心拍数の変化を測定する検査です。起立性調節障害が疑われる場合に行い、起立直後性低血圧(INOH)、体位性頻脈症候群(POTS)、血管迷走神経性失神(VVS)、遷延性起立性低血圧(DeOH)の4つのサブタイプのいずれに当てはまるかを判定します。

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