インフルエンザと新型コロナ感染症
薬師堂かたおかクリニック 院長 片岡 尚之(かたおか たかゆき)
平成27年 大阪医科薬科大学卒業/同大学病院 初期研修修了/同大学 呼吸器外科 後期研修修了/市立ひらかた病院 呼吸器外科 医長・救急科 医長
インフルエンザ・新型コロナ感染症の専門医ではありませんが、救急科医長として発熱患者の初期対応を数多く経験してきました。学校や職場から「いつから登校・出勤してよいか」を尋ねられる場面にも日常的に対応しており、学校保健安全法や厚生労働省の指針に基づいた実務的なご案内を行っています。診断書・意見書のご相談にも、かかりつけ医として応じています。
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発熱や咳などの症状が出たとき、「インフルエンザ?それとも新型コロナ?」と迷われる方も多いのではないでしょうか。どちらも似た症状を示す感染症ですが、検査のタイミング、治療薬、隔離期間には違いがあります。ここでは、皆さんが気になるポイントを分かりやすく解説します。
インフルエンザと新型コロナの症状
【インフルエンザの特徴】
発症の仕方:突然の高熱(38℃以上)で始まることが多い
主な症状:
- 高熱(38℃以上)
- 悪寒・関節痛・筋肉痛
- 全身倦怠感
- 頭痛
- 咳、のどの痛み、鼻水(発熱後に出現)
潜伏期間:1~3日(諸説あり) 症状の持続期間:3~4日で軽快することが多い
【新型コロナ感染症の特徴】
発症の仕方:比較的緩やかに発症することが多い
主な症状:
- 発熱(微熱~高熱まで様々)
- 咳、のどの痛み
- 倦怠感
- 頭痛
- 味覚・嗅覚の異常(特徴的な症状)
- 息苦しさ
- 消化器症状(吐き気、嘔吐、下痢)
潜伏期間:2~5日程度(中央値2.9日) 症状の持続期間:3日で軽快することが多いが、1週間以上続くこともある
【見分けるポイント】
| 項目 | インフルエンザ | 新型コロナ |
|---|---|---|
| 発熱の程度 | 38℃以上の高熱が多い | 微熱~高熱まで様々 |
| 関節痛・筋肉痛 | 強く出やすい | 比較的軽い |
| 味覚・嗅覚障害 | まれ | 特徴的な症状 |
| 症状の持続 | 3~4日で改善 | 3〜4日で改善(続くことも) |
※症状だけでは判断が難しいため、発熱などの症状がある場合は、医療機関で検査を受けることをお勧めします。
インフルエンザ・コロナは何科を受診すればいい?検査はいつ受ける?
発熱外来を実施している内科・かかりつけ医を受診してください。当院のような一般内科クリニックで、インフルエンザ・新型コロナともに検査から治療まで対応できます。
検査の精度は発症からの経過時間に左右されます。発症直後は体内のウイルス量が少なく、抗原検査で「陰性」と出てしまうことがあるため、発症から半日〜1日程度経過してからの受診・検査が推奨されます。ただし高熱や強い倦怠感が続く場合、重症化リスクのある方(高齢者、基礎疾患のある方など)は、時期を待たず早めにご相談ください。
薬局等では、新型コロナとインフルエンザA/Bを1回の検体採取で同時に判定できる市販の抗原検査キット(コンボキット)も販売されています。ご自身での目安確認には便利ですが、治療薬の処方や公的な証明が必要な場合は、医療機関での受診・検査が必要です。
治療について
【インフルエンザの治療】
インフルエンザには、ウイルスの増殖を抑える「抗インフルエンザ薬」があります。発症後48時間以内に服用することで、症状の軽減と回復を早める効果が期待できます。
主な治療薬:
- タミフル(オセルタミビル)
- 内服薬(カプセル・ドライシロップ)
- 1日2回、5日間服用
- 最も使用実績が多い
- ゾフルーザ(バロキサビル)
- 内服薬(錠剤・顆粒)
- 1回の服用で治療完結
- 利便性が高い
- イナビル(ラニナミビル)
- 吸入薬
- 1回の吸入で治療完結
- リレンザ(ザナミビル)
- 吸入薬
- 1日2回、5日間吸入
- ラピアクタ(ペラミビル)
- 点滴薬
- 1回の点滴で治療完結
- 経口摂取が難しい方・重症例で使用
対症療法:解熱鎮痛薬、咳止め、鼻水止めなどの風邪薬も併用されます。
抗インフルエンザ薬は、タミフルに限らずいずれの薬剤でも(また薬を服用していない場合でも)、特に10歳以上の未成年の患者さんで、治療開始後少なくとも2日間、転落等の事故につながる異常行動がみられることがあると報告されています。この間は保護者の方が可能な限り目を離さないようにし、一人で寝かせない、玄関・全ての窓の施錠を確認する、ベランダに面していない部屋で療養させるなどの対策をお願いします。
【新型コロナの治療】
現在、新型コロナ感染症に対しては、以下の治療薬が使用されています。
主な治療薬:
- ゾコーバ(エンシトレルビル)
- 日本製の経口薬
- 1日1回、5日間服用
- 症状改善効果が期待できる
- 他の薬との相互作用に注意が必要
- パキロビッド(ニルマトレルビル/リトナビル)
- 経口薬
- 重症化リスクのある方に推奨
- 他の薬との相互作用に注意が必要
- ラゲブリオ(モルヌピラビル)
- 経口薬
- 重症化リスクのある方に推奨
- ベクルリー(レムデシビル)
- 点滴薬
- 主に入院が必要な重症例に使用(外来では通常使用しません)
対症療法:解熱鎮痛薬、咳止めなどの一般的な風邪薬も併用されます。
※2024年4月以降、新型コロナの治療薬は公費負担の対象外となり、自己負担が発生します。3割負担の場合の薬剤費の目安は、ゾコーバ約1.5万円、ラゲブリオ約2.8万円、パキロビッド約2.9万円程度です(診察料・検査料等は別途。薬価改定により変動するため、あくまで目安としてご参照ください)。高額療養費制度の対象にもなります。
隔離期間・療養期間について
【インフルエンザの隔離期間】
学校(学校保健安全法による規定):発症後5日を経過し、かつ解熱後2日(幼児は3日)を経過するまで出席停止。発症日・解熱日は0日目として数え、最短でも5日間は出席停止となります。
職場(大人の場合):法律上の明確な規定はありませんが、学校と同様の基準(発症後5日かつ解熱後2日)を目安とする企業が多いため、各企業の就業規則に従ってください。
【新型コロナの療養期間】
2023年5月8日以降、5類感染症に移行したため、法律による外出自粛の義務はなくなりました。ただし厚生労働省は、発症後5日間かつ症状軽快後24時間が経過するまでは外出を控え、発症後10日間はマスク着用などの配慮をすることを推奨しています。学校(児童・生徒等)は「発症後5日かつ症状軽快後1日」という法的な基準があります。詳しい数え方・パターン別の目安は、上記のシミュレーター記事で詳しく解説しています。
予防対策
インフルエンザと新型コロナ、どちらも以下の基本的な予防対策が重要です。
- ワクチン接種
- インフルエンザワクチン:毎年10月~12月の接種が推奨
- 新型コロナワクチン:定期接種が継続中
- 同時期に接種する場合は、原則として同時接種(同日に別の部位へ接種)が可能です
- 手洗い・手指消毒
- こまめな手洗いが基本
- マスク着用
- 症状がある時や混雑した場所では着用を
- 換気
- 室内の換気をこまめに行う
- 体調管理
- 十分な睡眠と栄養、適度な運動
コラム:インフルエンザとコロナは同時に流行する?同時感染することはある?
冬場は、インフルエンザと新型コロナが同時期に流行する、いわゆる「同時流行(ツインデミック)」が起こることがあります。この場合、発熱外来や検査キットの需要が高まりやすいため、症状が出た時点で早めの受診・検査をおすすめします。
まれではありますが、インフルエンザと新型コロナに同時に感染するケースも報告されています。症状だけで見分けることは難しく、いずれか一方の検査が陰性でも、もう一方の感染を否定できるとは限りません。発熱・咳・のどの痛みなど共通する症状が続く場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。
まとめ
インフルエンザと新型コロナは似た症状を示しますが、治療法や療養期間には違いがあります。発熱などの症状が出た場合は:
- 早めに医療機関を受診して検査を受ける
- 処方された薬は指示通りに服用する
- 推奨される療養期間は自宅で安静にする
- 周囲への感染を防ぐための配慮を心がける
当院での対応
薬師堂かたおかクリニックでは、インフルエンザ・新型コロナウイルス感染症の検査・診断から治療、登校・出勤の目安に関するご相談まで、かかりつけ医として対応しています。ご不明な点やご心配なことがございましたら、当クリニックまでお気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
インフルエンザ・コロナは何科を受診すればいいですか?
インフルエンザと新型コロナに同時に感染することはありますか?
タミフルを飲むと異常行動が起きますか?
新型コロナの治療薬は保険が使えますか?
検査はいつ受ければいいですか?
- 厚生労働省「小児・未成年者がインフルエンザにかかった時は、異常行動にご注意下さい」(平成29年11月27日)
- 厚生労働省「令和7年度 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A」
- 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について」
- 聖マリアンナ医科大学病院「新型コロナウイルス感染症治療薬 令和6年4月から公費負担終了について」
※本記事は、上記資料を参考に医師が内容を精査し作成しています。
月〜土診療 / 京都府長岡京市今里西ノ口7-1


















