帯状疱疹ワクチン
薬師堂かたおかクリニック 院長 片岡 尚之(かたおか たかゆき)
平成27年 大阪医科薬科大学卒業/同大学病院 初期研修修了/同大学 呼吸器外科 後期研修修了/市立ひらかた病院 呼吸器外科 医長・救急科 医長
帯状疱疹ワクチンの専門医ではありませんが、救急科医長として発熱・急性期対応やワクチン接種後の副反応対応に数多く携わってきました。かかりつけ医として問診・既往歴確認のうえ接種可否を判断し、必要時は専門機関と連携します。
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帯状疱疹は、過去にかかった水ぼうそう(水痘ウイルス)が体の神経に潜み、加齢や疲労などによる免疫力の低下をきっかけに再活性化して起こる病気です。体の左右どちらか一方に、ピリピリとした痛みを伴う発疹(水ぶくれ)が帯状に現れるのが特徴で、50歳以上、特に70歳代で発症する方が最も多くなっています。発疹が治った後も痛みだけが長く続く「帯状疱疹後神経痛(PHN)」に悩まされることがあり、この記事ではその予防に使う帯状疱疹ワクチンについて、効果・費用・定期接種(公費助成)の対象年齢まで詳しく解説します。
長岡京市の薬師堂かたおかクリニックでは、不活化ワクチン・生ワクチンの両方を取り扱っており、かかりつけ医として持病や体調に応じた接種可否の判断から接種後のフォローまで対応しています。
ワクチンは発症を予防するためのもので、すでに出ている帯状疱疹の治療には使えません。発疹に気づいたら様子を見ずに早めに医療機関を受診してください。抗ウイルス薬による治療は、発疹が出てから72時間(3日)以内に開始するほど効果が高いとされており、治療開始が遅れると神経痛が長引くおそれがあります。
ワクチンの目的
帯状疱疹ワクチンは、ウイルスの再活性化を防ぐことで、発症や重症化を予防するためのものです。接種によって以下の効果が期待できます。
- 帯状疱疹の発症を予防する
- 発症した場合でも症状を軽くする
- 帯状疱疹後神経痛(PHN)の発症を抑える
ワクチンの種類と効果の違い
日本では現在、2種類のワクチンが使用されています。それぞれ特徴が異なるため、下の表で比較してください。
| 不活化ワクチン(シングリックス®) | 生ワクチン(乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」) | |
|---|---|---|
| 種類 | 不活化(組換え)ワクチン | 生ワクチン |
| 接種回数 | 2回(通常2か月以上の間隔で筋肉注射) | 1回(皮下注射) |
| 予防効果 | 接種後1年時点で9割以上。5年時点で9割程度、10年時点で7割程度に緩やかに低下 | 接種後1年時点で6割程度。5年時点で4割程度に低下 |
| 対象年齢 | 50歳以上 | 50歳以上(免疫が低下していない方) |
| 接種できない方 | 免疫が低下している方にも接種可能 | 免疫が低下している方は接種不可 |
| 費用の目安(自費) | 22,000円×2回(合計44,000円) | 7,700円 |
| 主な副反応 | 接種部位の痛み・腫れ、筋肉痛・倦怠感など(数日で軽快) | 発赤・掻痒感など(軽度) |
※予防効果は厚生労働省「帯状疱疹の予防接種についての説明書」(2025年11月作成)に基づく報告値です。効果は時間の経過とともに徐々に低下します。
帯状疱疹ワクチンは何歳から受けられる?対象者と定期接種(公費助成)
50歳以上ならどなたでも接種可能(任意接種)
50歳以上の方であれば、どなたでも自費(任意接種)で接種を受けられます。特に以下に当てはまる方には、接種を強くおすすめします。
- 帯状疱疹にかかったことがある
- 糖尿病・高血圧などの生活習慣病がある
- ストレスや疲労がたまりやすい
- 免疫力が低下する治療(抗がん剤・免疫抑制薬など)を受けている
65歳以上は定期接種(公費助成)の対象
年度内に65歳になる方は、毎年度、市区町村の定期接種(公費助成)の対象になります。加えて令和7年度から令和11年度までの5年間は経過措置として、その年度内に70・75・80・85・90・95・100歳を迎える方も対象です(対象になる生年月日は年度ごとに異なります)。
当院がある乙訓地域(長岡京市・向日市・大山崎町)では、定期接種の対象の方は次の自己負担額で接種できます。
| ワクチン種類 | 乙訓地域の自己負担額 | 接種回数 |
|---|---|---|
| 生ワクチン | 4,000円/回 | 1回 |
| 不活化ワクチン(シングリックス) | 10,000円/回(合計20,000円) | 2回 |
定期接種の公費助成が使えるのはお一人につき生涯1回です。50〜64歳の方は定期接種の対象外のため、接種する場合は自費(上の比較表を参照)となります。ご自身が今年度の対象かどうかは、お住まいの市区町村(乙訓地域の方は長岡京市公式サイト)または当院にご確認ください。対象の方には、市町村から予防接種券が郵送されます。
接種スケジュール
不活化ワクチンの場合
1回目の接種から2か月後に2回目を受けます(最長で6か月以内に2回目を接種すれば有効です)。
生ワクチンの場合
1回の接種で完了します。
接種前に確認しておきたいこと
接種できない方・注意が必要な方
以下に当てはまる方は、接種の可否について事前に医師にご相談ください。
- 生ワクチンは、病気や治療によって免疫が低下している方は接種できません。
- 輸血や免疫グロブリン製剤の注射を受けた方は、生ワクチンの接種まで通常3か月以上(大量療法を受けた場合は6か月以上)あける必要があります。
- 不活化ワクチン(シングリックス)は筋肉注射のため、血小板減少症や凝固障害のある方、抗凝固療法中の方は注意が必要です。
- 発熱している方、重篤な急性疾患にかかっている方、ワクチンの成分でアナフィラキシーを起こしたことが明らかな方は、いずれのワクチンも接種できません。
- 心臓血管系疾患・腎臓疾患・肝臓疾患・血液疾患などの基礎疾患がある方、過去のワクチン接種後2日以内に発熱や発疹などのアレルギー症状が出たことがある方、けいれんを起こしたことがある方、免疫不全と診断されている方(近親者を含む)は、接種前にご相談ください。
他のワクチンとの同時接種
医師が必要と判断した場合、インフルエンザワクチン・新型コロナワクチン・高齢者肺炎球菌ワクチンなどとの同時接種が可能です。ただし生ワクチンは、他の生ワクチンとの接種間隔を27日以上あける必要があります。
帯状疱疹ワクチンの副反応(副作用)は?
どちらのワクチンでも、軽度の副反応が見られることがあります。副反応とは、ワクチン接種後に起こる、免疫ができる以外の反応のことです。主なものは以下の通りです。
| 副反応の種類 | 内容 |
|---|---|
| 局所反応 | 注射部位の痛み・赤み・腫れ(2〜3日で改善)。不活化ワクチンでは7割以上の方に痛みが出ると報告されています。 |
| 全身反応 | 発熱・倦怠感・頭痛・筋肉痛など |
| ごくまれな重い副反応 | 頻度不明ながら、生ワクチンでアナフィラキシー・血小板減少性紫斑病・無菌性髄膜炎、不活化ワクチンでショック・アナフィラキシー・ギラン・バレー症候群の報告があります。 |
接種後30分程度は院内で安静にし、体調に異常があればすぐにお申し出ください。注射部位は清潔に保ってください(当日の入浴は問題ありません)。当日の激しい運動はお控えください。
ごくまれに、ワクチン接種による健康被害が生じることがあります。定期接種でこうした健康被害が生じた場合は健康被害救済制度が設けられています。制度の利用については、予防接種を受けた際に住民票のあった市区町村にご相談ください。
当院でのご案内
当院では、不活化ワクチン・生ワクチンの両方に対応しています。接種の流れは以下の通りです。
- 医師による問診・既往歴確認
- ご希望のワクチンを選択
- 接種(不活化ワクチンの場合は2回)
- 接種後の経過観察
帯状疱疹ワクチンは何科で受けられる?
皮膚科でなくても、内科(かかりつけ医)で接種を受けられます。持病がある方や複数の薬を服用中の方も、普段の体調を把握しているかかりつけ医であれば、接種可否を踏まえたうえで安心して接種を受けられます。副反応の不安や持病のある方も、お気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
65歳以上は市町村の助成(定期接種)が受けられると聞きました。対象でしょうか?
帯状疱疹になったことがある人もワクチンを受けた方がいいですか?
どちらのワクチンを選べばよいですか?
接種後に仕事や運動はしても大丈夫ですか?
帯状疱疹ワクチンは何科で受けられますか?
すでに発疹や痛みがあります。ワクチンを打てば治りますか?
帯状疱疹やワクチンのことについてもう少し詳しく知りたいです。
※本記事は、上記資料を参考に医師が内容を精査し作成しています。
月〜土診療 / 京都府長岡京市今里西ノ口7-1











