帯状疱疹
帯状疱疹 は、過去にかかった水ぼうそう(水痘ウイルス)が、体の神経の中に潜伏し、免疫力の低下をきっかけに再び活性化することで起こる病気です。
体の左右どちらか片方にピリピリとした痛みや発疹(水ぶくれ) が出るのが特徴で、特に50歳以上の方に多く発症します。
発疹が治った後も神経痛(帯状疱疹後神経痛:PHN)が長く続くことがあり、早期治療できれば1-2ヶ月で改善する方も多くいますが、治療開始が遅れたり発疹が一度悪化してしまうと数ヶ月から1年以上も痛みが続くことがあります。
ワクチンの目的
帯状疱疹ワクチンは、ウイルスの再活性化を防ぐことで、発症や重症化を予防するためのものです。接種によって以下の効果が期待できます:
・帯状疱疹の発症を予防
・発症した場合でも症状を軽くする
・帯状疱疹後神経痛(PHN)の発症を抑える
ワクチンの種類
日本では現在、2種類のワクチンが使用されています。
それぞれの特徴を以下の表にまとめます。
| 不活化ワクチン(シングリックス®) | 乾燥弱毒性水痘ワクチン(ビケン) | |
|---|---|---|
| 種類 | 不活化(組換え)ワクチン | 生ワクチン |
| 接種回数 | 2回(2か月間隔で筋肉注射) | 1回(皮下注射) |
| 予防効果 | 約97%(50歳以上) ※高い効果が長期間持続(10年以上) | 約50〜60%(5年程度) |
| 対象年齢 | 50歳以上 | 50歳以上(免疫が低下していない方) |
| 使用できる人 | 免疫が低下している方にも接種可能 | 免疫抑制状態の方には接種できない |
| 費用の目安(自費) | 22,000円×2回(合計4万4千円) | 7,700円 |
| 副反応 | 接種部位の痛み・腫れ・発熱・倦怠感など (2〜3日で軽快) | 発熱・発疹などまれに軽い症状 |
接種の対象者とタイミング
50歳以上のすべての方が対象です。特に以下の方には接種を強くおすすめします:
・帯状疱疹を過去に経験したことがある方
・糖尿病・高血圧などの生活習慣病がある方
・ストレスや疲労がたまりやすい方
・免疫力が低下する治療(抗がん剤・免疫抑制薬など)を受けている方
自治体によっては、接種費用の助成制度がある場合もあります。詳しくはお住まいの自治体または当院までお問い合わせください。
接種スケジュール
不活化ワクチンの場合
1回目の接種から2か月後に2回目を受ける必要があります。(最長で6か月以内に2回目を接種すれば有効です。)
生ワクチンの場合
1回の接種で完了します。
副反応について
どちらのワクチンでも、軽度の副反応が見られることがあります。
副反応とは、ワクチン接種後に起こる、免疫ができる以外の反応のことです。主なものは以下の通りです。
| 副反応の種類 | 内容 |
|---|---|
| 局所反応 | 注射部位の痛み・赤み・腫れ(2〜3日で改善) |
| 全身反応 | 発熱・倦怠感・頭痛・筋肉痛など(まれ) |
| 重い副反応 | ごくまれにアレルギー反応(接種後30分は院内で様子を見ます) |
当院でのご案内
当院では、不活化ワクチン・生ワクチンの両方に対応しています。接種の流れは以下の通りです:
①医師による問診・説明
②ご希望のワクチンを選択
③接種(不活化ワクチンの場合は2回)
④接種後の経過観察
副反応の不安や持病のある方でも、お気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 現在長岡京市に住む69歳ですが、65歳以上の人が市町村からのクーポンで割引があると聞いたのですが、対象でしょうか?
A. 誕生日によって対象かどうかが変わります。乙訓地域(長岡京市、向日市、大山崎町)在住の方で、令和7年度に以下の表の対象者の方は、お住まいの市町村から予防接種券が事前に郵送されています。実施期間が令和7年6月1日~令和8年3月31日になりますので、予防接種をご検討の方は、期間内に接種券を持って乙訓地域の委託医療機関へ受診してください。(当院も対象の医療機関です。)
| 年齢区分 | 生年月日 | 年齢区分 | 生年月日 |
| 65歳 | 昭和35年4月2日~昭和36年4月1日生 | 85歳 | 昭和15年4月2日~昭和16年4月1日生 |
| 70歳 | 昭和30年4月2日~昭和31年4月1日生 | 90歳 | 昭和10年4月2日~昭和11年4月1日生 |
| 75歳 | 昭和25年4月2日~昭和26年4月1日生 | 95歳 | 昭和 5年4月2日~昭和 6年4月1日生 |
| 80歳 | 昭和20年4月2日~昭和21年4月1日生 | 100歳以上 | 大正15年4月1日以前にお生まれの方 |
Q2. 帯状疱疹になったことがある人もワクチンを受けた方がいいですか?
A. はい。再発を防ぐためにも接種をおすすめします。発症から6か月以上経っていれば接種可能です。
Q3. どちらのワクチンを選べばよいですか?
A. より高い効果と持続を重視する場合は不活化ワクチン(シングリックス®)、費用を抑えたい場合や健康状態に問題がない方は生ワクチンが選択肢になります。
Q4. 接種後に仕事や運動はしても大丈夫ですか?
A. 基本的には問題ありませんが、注射部位の痛みや軽い発熱がある場合は無理をせず安静をおすすめします。
Q5. 帯状疱疹やワクチンのことについてもう少し詳しく知りたいです。
A. 以下のサイトが詳しくわかりやすいです。ご参照ください。
厚生労働省 帯状疱疹ワクチン
帯状疱疹.jp








