インフルエンザと新型コロナ感染症
はじめに
発熱や咳などの症状が出たとき、「インフルエンザ?それとも新型コロナ?」と迷われる方も多いのではないでしょうか。どちらも似た症状を示す感染症ですが、治療法や隔離期間には違いがあります。ここでは、皆さんが気になるポイントを分かりやすく解説します。
インフルエンザと新型コロナの症状
【インフルエンザの特徴】
- 発症の仕方:突然の高熱(38℃以上)で始まることが多い
- 主な症状:
- 高熱(38℃以上)
- 悪寒・関節痛・筋肉痛
- 全身倦怠感
- 頭痛
- 咳、のどの痛み、鼻水(発熱後に出現)
- 潜伏期間:1~3日(諸説あり)
- 症状の持続期間:3~4日で軽快し始める
【新型コロナ感染症の特徴】
- 発症の仕方:比較的緩やかに発症することが多い
- 主な症状:
- 発熱(微熱~高熱まで様々)
- 咳、のどの痛み
- 倦怠感
- 頭痛
- 味覚・嗅覚の異常(特徴的な症状)
- 息苦しさ
- 消化器症状(吐き気、嘔吐、下痢)
- 潜伏期間:2~5日程度(中央値2.9日)
- 症状の持続期間:軽症でも1週間程度続く傾向がある
【見分けるポイント】
| 項目 | インフルエンザ | 新型コロナ |
|---|---|---|
| 発熱の程度 | 38℃以上の高熱が多い | 微熱~高熱まで様々 |
| 関節痛・筋肉痛 | 強く出やすい | 比較的軽い |
| 味覚・嗅覚障害 | まれ | 特徴的な症状 |
| 症状の持続 | 3~4日で改善 | 1週間程度続く |
※症状だけでは判断が難しいため、発熱などの症状がある場合は、医療機関で検査を受けることをお勧めします。
治療について
【インフルエンザの治療】
インフルエンザには、ウイルスの増殖を抑える「抗インフルエンザ薬」があります。発症後48時間以内に服用することで、症状の軽減と回復を早める効果が期待できます。
主な治療薬:
- タミフル(オセルタミビル)
- 内服薬(カプセル・ドライシロップ)
- 1日2回、5日間服用
- 最も使用実績が多い
- ゾフルーザ(バロキサビル)
- 内服薬(錠剤・顆粒)
- 1回の服用で治療完結
- 利便性が高い
- イナビル(ラニナミビル)
- 吸入薬
- 1回の吸入で治療完結
- リレンザ(ザナミビル)
- 吸入薬
- 1日2回、5日間吸入
対症療法:解熱鎮痛薬、咳止め、鼻水止めなどの風邪薬も併用されます。
【新型コロナの治療】
現在、軽症から中等症の新型コロナ感染症に対しては、以下の治療薬が使用されています。
主な治療薬:
- ゾコーバ(エンシトレルビル)
- 日本製の経口薬
- 1日1回、5日間服用
- 症状改善効果が期待できる
- 他の薬との相互作用に注意が必要
- パキロビッド(ニルマトレルビル/リトナビル)
- 経口薬
- 重症化リスクの高い方に推奨
- 他の薬との相互作用に注意が必要
- ラゲブリオ(モルヌピラビル)
- 経口薬
- 重症化リスクのある方に使用
対症療法:解熱鎮痛薬、咳止めなどの一般的な風邪薬も併用されます。
※2024年4月以降、新型コロナの治療薬は公費負担の対象外となり、自己負担が発生します。
隔離期間・療養期間について
【インフルエンザの隔離期間】
学校(学校保健安全法による規定):
- 発症後5日を経過し、かつ解熱後2日(幼児は3日)を経過するまで出席停止
- 発症日、解熱日は0日目として数えます
- 最短でも5日間は出席停止となります
職場(大人の場合):
- 法律上の明確な規定はありませんが、学校と同様の基準(発症後5日かつ解熱後2日)を目安とする企業が多い
- 各企業の就業規則に従ってください
【新型コロナの療養期間】
2023年5月8日以降、5類感染症に移行したため、法律による外出自粛の義務はなくなりました。
ただし、厚生労働省は以下の期間を推奨しています:
- 発症後5日間かつ症状軽快後24時間が経過するまでは外出を控える
- 5日目に症状が続いている場合は、症状が軽快して24時間程度経過するまで外出を控える
- 発症後10日間はマスク着用などの配慮が推奨されます
学校・職場:
- 多くの学校や企業では、インフルエンザと同様の基準(発症後5日かつ症状軽快後1日)を採用しています
- 所属する学校や職場の規定を確認してください
予防対策
インフルエンザと新型コロナ、どちらも以下の基本的な予防対策が重要です。
- ワクチン接種
- インフルエンザワクチン:毎年10月~12月の接種が推奨
- 新型コロナワクチン:定期接種が継続中
- 手洗い・手指消毒
- こまめな手洗いが基本
- マスク着用
- 症状がある時や混雑した場所では着用を
- 換気
- 室内の換気をこまめに行う
- 体調管理
- 十分な睡眠と栄養、適度な運動
まとめ
インフルエンザと新型コロナは似た症状を示しますが、治療法や療養期間には違いがあります。発熱などの症状が出た場合は:
✓ 早めに医療機関を受診して検査を受ける
✓ 処方された薬は指示通りに服用する
✓ 推奨される療養期間は自宅で安静にする
✓ 周囲への感染を防ぐための配慮を心がける
ご不明な点やご心配なことがございましたら、当クリニックまでお気軽にご相談ください。
参考情報:
厚生労働省:令和6年度インフルエンザQ&A
厚生労働省:新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について

















