感染症からご自身や大切なご家族を守るためには、適切な抗体検査と予防接種が極めて重要です。当院では、若年層から高齢者まで幅広い方々を対象に、各種予防接種および抗体検査を実施しています。
本記事では、ホームページを訪れた皆さまが「ご自身がどの世代に該当し、何のワクチンが必要か」をひと目でご理解いただけるよう、最新の基準をもとに情報をまとめました。
各疾患の予防接種|推奨対象と実施基準
予防接種の回数が不足している、または確実な罹患歴(病気にかかった証明)がない方を前提として、各疾患の推奨対象と抗体検査等に基づく治療・接種対象基準は以下の通りです。
| 疾患名 | 任意接種が推奨される対象 | 抗体検査の基準値 |
|---|---|---|
| 麻疹(はしか) | ・予防接種を受けていない方 ・海外渡航予定者 ・医療関係者 | IgG抗体 16.0未満 |
| 風疹 | ・妊娠を希望されている女性 ・妊婦の同居人 ・医療関係者 | HI法 32倍未満(妊婦・同居家族、医療関係者) HI法 8倍未満(一般の方) |
| 水痘(水ぼうそう) | ・学校や保育に携わる成人 ・妊娠を希望する女性 ・医療関係者 ・特定の疾患(白血病、悪性腫瘍、ネフローゼ、重症気管支喘息)の方 | IgG抗体 4.0未満 |
| 帯状疱疹 | ・50歳以上で帯状疱疹の予防を希望される方 | (抗体検査の基準なし:50歳以上が対象) |
| 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ) | ・罹患歴がなく、予防接種を受けていない方 ・医療関係者 | IgG抗体 4.0未満 |
| B型肝炎 | ・医療関係者 ・血液や体液を取り扱う職場の方 ・コンタクトスポーツ(サッカー、格闘技、バスケ等)をする方 | HBs抗体 10mIU/mL未満 |
| 破傷風 | ・農作業者 ・工事現場従事者 ・不衛生な環境の被災地域での支援作業者など | (世代等で判断) |
予防接種の回数と接種間隔
各ワクチンの標準的な接種回数と、2回目以降を接種する際の間隔をまとめています。
- 麻疹:計 2回 (4週間以上の間隔をあけて接種)
- 風疹:計 2回 (4週間以上の間隔をあけて接種)
- 水痘:計 2回 (4週間以上の間隔をあけて接種)
- ムンプス:計 2回 (4週間以上の間隔をあけて接種)
- B型肝炎:計 3回
• 2回目:1回目から 4週間以上 あける
• 3回目:1回目から 20〜24週間以上 あける - 破傷風:未接種者は計 3回、接種者は10年以上接種していれば計 1回
• 2回目:1回目から 3〜8週間 あける
• 3回目:2回目から 6〜18ヶ月 あける(できれば12〜18ヶ月が推奨)
• ※基礎免疫がある方は、最終接種から 10年経過毎に1回 追加接種 - 結核:計 1回 (生涯に1回。基本的に成人の追加接種はなし)
【世代別】あなたの接種回数とおすすめの対応
日本の定期接種制度は時代とともに大きく変化してきたため、生まれた年代によってワクチンの接種回数や免疫の有無が大きく異なります。ご自身の生年月日の欄をご確認ください。
麻疹(ましん/はしか)
- 1972年(昭和47年)9月30日以前に生まれた方
• 状態:定期接種なし(未接種世代)
• 対応:2回の予防接種 が強く推奨されます。 - 1972年(昭和47年)10月1日 〜 1990年(平成2年)4月1日に生まれた方
• 状態:制度上、1回のみ接種した世代
• 対応:1回の追加接種 がおすすめです。 - 1990年(平成2年)4月2日 〜 2000年(平成12年)4月1日に生まれた方
• 状態:特例措置により2回接種の機会があった世代(ただし2回目接種率は77.0〜88.8%)
• 対応:2回目を未接種、または記憶が曖昧な場合は 1回の追加接種 を推奨します。 - 2000年(平成12年)4月2日以降に生まれた方
• 状態:定期接種として2回接種した世代(接種率92〜94%程度)
• 対応:基本的には不要ですが、2回目を逃している場合は 1回の追加接種 を推奨します。
風疹(ふうしん)
- 1962年(昭和37年)4月1日以前に生まれた方
• 状態:男女ともに定期接種なし(未接種世代)
• 対応:2回の予防接種 がおすすめです。 - 1962年(昭和37年)4月2日 〜 1979年(昭和54年)4月1日に生まれた方
• 状態:男性は接種なし、女性は学校で1回のみ接種した世代
• 対応:男性は2回、女性は1回の追加接種 がおすすめです。
• 特記:この世代の男性を対象とした国の無料クーポン制度は原則2025年3月で終了していますが、一部の自治体では2027年3月31日まで延長されています。 - 1979年(昭和54年)4月2日 〜 1990年(平成2年)4月1日に生まれた方
• 状態:中学生または幼児期に1回のみ個別接種を受けた世代
• 対応:1回の追加接種 がおすすめです。 - 1990年(平成2年)4月2日 〜 2000年(平成12年)4月1日に生まれた方
• 状態:特例措置(麻疹と同様)で2回接種の機会があった世代
• 対応:2回目未接種、または記憶がない場合は 1回の追加接種 がおすすめです。 - 2000年(平成12年)4月2日以降に生まれた方
• 状態:定期接種として2回接種した世代
• 対応:基本的には不要ですが、未完了の場合は 1回の追加接種 を推奨します。
水痘(水ぼうそう)
- 2009年(平成21年)10月1日以前に生まれた方
• 状態:定期接種がない未接種世代
• 対応:抗体や必要性に応じて2回の接種を検討してください。 - 2009年(平成21年)10月2日 〜 2011年(平成23年)10月1日に生まれた方
• 状態:特例措置等により、1回のみ接種している可能性がある世代
• 対応:抗体や必要性に応じて2回の接種を検討してください。 - 2011年(平成23年)10月2日 〜 2013年(平成25年)10月1日に生まれた方
• 状態:特例措置等により、2回接種している可能性がある世代
• 対応:抗体や必要性に応じて2回の接種を検討してください。 - 2014年(平成26年)10月2日以降に生まれた方
• 状態:定期接種(生後12〜36ヶ月未満に対象拡大)として、すでに 2回接種を完了 している世代です。
• 対応:基本的には不要です。
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)
- 1989年(昭和64年/平成元年)4月1日以前に生まれた方
• 状態:ほぼ全員が定期接種の機会がない未接種世代
• 対応:抗体や必要性に応じて2回の接種を検討してください。 - 1989年(平成元年)4月2日 〜 1993年(平成5年)4月27日に生まれた方
• 状態:当時のMMR(麻疹・風疹・おたふくかぜ)混合ワクチンとして 1回接種した可能性がある世代
• 背景:接種後の無菌性髄膜炎の多発により、1993年4月27日にMMRワクチンは中止され、以降は任意接種(単独)となりました。
• 対応:抗体や必要性に応じて2回の接種を検討してください。 - 1993年(平成5年)4月28日以降に生まれた方
• 状態:定期接種はなく、任意接種として個別に最大2回接種している世代
• 対応:抗体や必要性に応じて2回の接種を検討してください。
B型肝炎
- 1985年(昭和60年)6月以前に生まれた方
• 状態:医療従事者や自費接種者を除き、ほぼ全員が未接種 世代
• 対応:抗体や必要性に応じて3回の接種を検討してください。 - 1986年(昭和61年) 〜 2016年(平成28年)3月に生まれた方
• 状態:「母子感染防止事業」が開始された世代。キャリアの母親から生まれた子どもは公費接種を受けられましたが、それ以外の一般的な家庭では 基本的に未接種 です。
• 対応:抗体や必要性に応じて3回の接種を検討してください。 - 2016年(平成28年)4月1日以降に生まれた方
• 状態:2016年10月から定期接種化され、生後1歳までに 計3回を全員公費(無料)で接種完了 している世代です。
• 対応:基本的には不要です。
破傷風
- 1967年(昭和42年)以前に生まれた方
• 状態:小児期に定期接種が行われていなかったため、基礎免疫をもっていません。
• 対応:まずは3回の基礎免疫接種 を行い、その後は10年毎に追加接種を受けることが望ましいです。 - 1968年(昭和43年)以降に生まれた方
• 状態:小児期の定期接種により、すでに 基礎免疫をもっている世代 です。
• 対応:前回の最終接種から10年以上が経過している場合は、破傷風トキソイド(または三種混合ワクチン)を1回 、その後も10年ごとの追加接種が推奨されます。
感染者と接触した場合の緊急予防接種
麻疹(はしか)や水痘(水ぼうそう)などの感染力が非常に強いウイルスは、周囲で陽性者(感染者)が出た際、あるいは同居家族が感染した際、特定の時間以内に予防接種を行うことで、発症を予防したり症状を軽症化させたりできる場合があります。
このような時間的な制約がある時に、抗体検査を確認してから予防接種をしていては、結果が出る数日後には予防接種する意味がなくなってしまいます。
以下の基準に該当する場合は、ワクチンの在庫状況を確認いたしますので、まずはご来院前にお電話にて当院へご相談ください。
| 疾患名 | 潜伏期間 | 同居人・接触者の予防接種基準(発症予防・軽症化) |
|---|---|---|
| 麻疹(はしか) | 10〜12日 | 感染者と接触してから72時間(3日)以内の緊急接種が推奨されます。 |
| 風疹 | 2〜3週間 | 濃厚接触後の緊急接種に関する明確なエビデンスはありませんが、他のウイルスと同様に3日以内の接種が推奨されます。 |
| 水痘(水ぼうそう) | 10〜21日 | 感染者と接触してから72時間(3日)以内の緊急接種が推奨されます。 |
| おたふくかぜ | 2〜3週間 | 濃厚接触後の緊急接種に関する明確なエビデンスはありませんが、他のウイルスと同様に3日以内の接種が推奨されます。 |
| 帯状疱疹 | 数十年 | 濃厚接触による周囲への緊急接種基準はありません。 |
※いずれも、過去の「予防接種回数が不足している」または「確実な罹患歴(病気にかかった証明)がない」ことが条件となります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 抗体検査と予防接種は同じ日に受けられますか?
A. 原則として、別の日でのご案内となります。
抗体検査(血液検査)を行ってから、結果が判明するまでに数日かかります。そのため、まずは「抗体検査」のためにご来院いただき、結果を確認して「免疫が不十分(治療対象・接種対象)」と判断された場合に、後日「予防接種」を受けていただく流れとなります。
ただし、母子手帳等で過去の接種回数の不足が明らかに証明されている場合などは、抗体検査を挟まずに予防接種から開始することも可能です。
Q2. 異なる種類のワクチンを同時に接種することは可能ですか?
A. 医師が認めた場合は、複数のワクチンを同時に接種することが可能です。
当院では、患者さまのスケジュールや必要性に応じて、複数量の同時接種にも対応しております。ご希望の組み合わせがある場合は、受診時に医師へお気軽にご相談ください。
Q3. 自分が過去に予防接種を何回受けたか分かりません。どうすれば良いですか?
A. まずは母子手帳をご確認いただくか、当院で「抗体検査」を受けられることをおすすめします。
生まれた年代によって制度上の接種回数は異なりますが、実際に体内に十分な免疫(抗体)が残っているかどうかは個人差があります。抗体検査を行うことで、現在のあなたに本当にワクチンが必要かどうかを正確に調べることができます。
Q4. 地域の公費助成(長岡京市などの乙訓地域や京都市)を利用したいのですが、当日に必要なものはありますか?
A. お住まいの自治体や助成制度によって条件や必要書類が異なります。
例えば、京都府の無料風疹抗体検査や、乙訓地域(長岡京市・向日市・大山崎町)・京都市の予防接種費用助成など、それぞれ対象者や申請手順が細かく定められています。
助成金の申請には、一般的に「自治体指定の請求書」「クリニックが発行する領収書」「抗体価検査の結果書」などが必要となりますが、接種前に事前申請が必要なケース(非課税世帯の全額助成など)もございます。必ず事前に各市役所・町役場の健康推進課等の窓口、またはWebでご確認の上、ご来院ください。











