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慢性閉塞性肺疾患(COPD)

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

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この記事の監修医

薬師堂かたおかクリニック 院長 片岡 尚之(かたおか たかゆき)

平成27年 大阪医科薬科大学卒業/同大学病院 初期研修修了/同大学 呼吸器外科 後期研修修了/市立ひらかた病院 呼吸器外科 医長・救急科 医長

COPDは呼吸器外科・呼吸器内科が専門的に扱う疾患のひとつです。市立ひらかた病院での呼吸器外科医長としての経験を活かし、呼吸機能検査による早期発見と、症状に応じた吸入薬治療・禁煙支援を行っています。増悪時の対応や在宅酸素療法など、より専門的な管理が必要と判断した場合は、連携する高次医療機関へ迅速につないでいます。

最終更新日:

慢性閉塞性肺疾患(COPD;Chronic Obstructive Pulmonary Disease)は、長年の喫煙などによって気道や肺に慢性的な炎症が起こり、空気の通り道が狭くなることで呼吸が苦しくなる病気です。日本には500万人を超えるCOPD患者さんがいると推定されていますが、実際に治療を受けている方は38.2万人にとどまり、多くの方が気づかないまま過ごしています。COPDによる死亡者数(年間16,629人)は交通事故死者数(同2,663人)より多いにもかかわらず、COPDという病名を知らない方は6割以上にのぼるといわれています。

長岡京市の薬師堂かたおかクリニックでは、呼吸器外科での診療経験を持つ院長が、呼吸機能検査による早期発見から、吸入薬治療・呼吸リハビリ指導、禁煙支援まで継続的にサポートしています。「風邪でもないのに咳や痰が続く」「階段や坂道で息が切れる」といった症状に心当たりのある方は、様子を見ずにご相談ください。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは

主に慢性気管支炎肺気腫の2つの病態が含まれます。進行すると息切れが強くなり、日常生活に支障をきたすことがあります。以前は「慢性気管支炎」「肺気腫」といった病名で個別に呼ばれていましたが、現在はこれらをまとめてCOPDと呼びます。

原因

  • 喫煙(たばこ):最も大きな原因です。日本のCOPD患者の約9割が喫煙歴ありとされ、喫煙者の約20%が罹患すると言われています。喫煙開始年齢が若いほど、1日の喫煙本数が多いほどCOPDになりやすく、進行しやすいことが分かっています。
  • 受動喫煙・大気汚染・粉塵曝露:職業性粉塵(建設業・鉱業など)や排気ガスへの曝露もリスクとなります。
  • 加齢:40歳を過ぎるころから症状が出始めることが多く、高齢者ほど罹患者数が多くなります。
禁煙してもCOPDになりますか?

肺機能は加齢によって誰でも低下しますが、喫煙はその低下スピードを速めます。禁煙すると、その後の低下スピードは非喫煙者とほぼ同じになることが報告されています。ただし、喫煙によって傷んだ気道や肺胞が元通りになるわけではないため、以前喫煙していた方も、目安として1日1箱相当を10年以上吸っていた40歳以上の方はCOPDの可能性があります。

COPDの症状|セルフチェック

症状特徴
咳・痰朝方に多く出る。長期間続くことが多い。
息切れ階段や坂道で息が苦しくなる。徐々に悪化。
呼吸音の異常ヒューヒュー、ゼーゼーという音がする。
疲れやすさ呼吸に多くのエネルギーを使うため。

進行すると、安静時でも息苦しさを感じるようになります。次のような症状に心当たりがある場合は、COPDの可能性があります。

  • 階段を上がるとゼイゼイ・ヒューヒューと息切れがする
  • 風邪でもないのに痰や咳がいつも出る
  • 朝起きてすぐ痰がからむ
  • 速く歩くと辛い
  • 喫煙歴が長い(1日1箱相当を10年以上など)

COPDの診断基準|1秒率だけでは診断できない

COPDの診断には、呼吸機能検査(スパイロメトリー)が重要です。息を勢いよく吐く検査で、気管支拡張薬吸入後の1秒率(FEV1/FVC)が70%未満であることが診断の必須条件とされています(気管支拡張薬=気管支を広げる薬。これを吸ってから測定するのは、喘息のような「薬で改善する」タイプの気道狭窄と区別するためです)。加えて、他に気流閉塞をきたしうる疾患がないことを確認したうえで診断します。

喘息との違い(鑑別のポイント)

喘息では気管支拡張薬の吸入によって1秒量の改善がみられますが、COPDでは改善しないことが特徴です。この反応の違いが、両者を見分ける手がかりのひとつになります。

他には、以下の検査などで総合的に評価します。

  • 問診:喫煙歴や症状の経過を確認します。
  • 聴診:呼吸音の異常(ヒューヒュー・ゼーゼー)を確認します。
  • 胸部X線・CT検査:肺の過膨張や肺気腫の有無、他の疾患(肺がんなど)がないかを確認します。
  • 血液検査・動脈血ガス分析:酸素や二酸化炭素の濃度を評価します。

COPDは何科を受診すればよい?

まずはかかりつけ医(内科)にご相談いただくか、呼吸器内科を受診してください。当院のようなかかりつけ医で呼吸機能検査による評価を行い、在宅酸素療法の導入など、より専門的な管理が必要と判断した場合は連携する高次医療機関へご案内します。

長引く咳や息切れが気になる方はご相談ください WEB予約はこちら 📞 電話で予約

COPDの病期分類(重症度)

COPDと診断された場合、予測1秒量に対する比率(%FEV1)に基づいて、下表のように4段階の病期(重症度)に分類されます。

病期気流閉塞の程度%FEV1(対標準1秒量)
Ⅰ期軽度80%以上
Ⅱ期中等度50%以上80%未満
Ⅲ期高度30%以上50%未満
Ⅳ期きわめて高度30%未満

出典:一般社団法人GOLD日本委員会(診断には気管支拡張薬投与後の1秒率70%未満が必須条件)

COPDの治療

COPDは進行性の病気ですが、早期発見と治療により症状を軽くし、進行を抑えることが可能です。

1. 禁煙

最も重要な治療です。禁煙によって病気の進行を遅らせ、咳や痰の症状も改善します。当院では禁煙外来によるサポートも行っています。

2. 吸入薬治療

症状の程度に応じて以下の薬剤を使用します。

薬の種類主な作用
LAMA(長時間作用性抗コリン薬)気道の筋肉を緩め、呼吸を楽にする
LABA(長時間作用性β2刺激薬)気管を広げて空気の流れを改善
ICS(吸入ステロイド)気道の炎症を抑える(喘息合併例など)

吸入薬は正しい使い方が大切です。医師・看護師が使用方法を丁寧に指導します。

【注意】吸入薬の副作用と自己判断での中断について

LAMA・LABAでは口の渇き・動悸・排尿しにくさなど、ICSでは口腔カンジダ症(口の中に白い苔状のものができる)や声のかすれなどが起こることがあります。ICS使用後はうがいをすることで予防できます。症状が落ち着いても、自己判断で吸入をやめると悪化・増悪のリスクが高まるため、必ず医師の指示に従って継続してください。

3. 呼吸リハビリテーション

呼吸法の訓練(口すぼめ呼吸など)や軽い運動療法を行い、息切れを軽減します。歩行・筋トレ・呼吸訓練などを無理のない範囲で継続します。

4. 酸素療法(在宅酸素)

重症化して血中酸素が低下した場合、自宅で酸素吸入を行う在宅酸素療法(HOT)を行います。

COPDの増悪|症状が急に悪化したときの対応

COPDは気づかないうちに進行するだけでなく、風邪やインフルエンザなどの呼吸器感染症をきっかけに、症状が急に悪化することがあります。これを「増悪」と呼びます。増悪とは、息切れなどの症状が悪化していつもの治療で改善せず、治療内容の変更が必要になる状態を指します。増悪を一度でも起こすと、命に関わることがあるほか、その後のCOPDの進行が早まることが分かっているため、繰り返さないこと・起きたら早めに対応することが重要です。

こんな変化があれば早めに受診してください
  • 痰の色が変わった(黄色くなったなど)・量が増えた
  • 咳・痰が普段よりひどくなった
  • 階段や坂道での息切れが急に強くなった
  • 発熱、動悸、いつもより強い倦怠感がある
【要注意】すぐに医療機関を受診・救急相談してください
  • 安静にしていても息苦しい
  • 会話が続けられないほど息が切れる
  • 意識がもうろうとする
  • 唇や爪が紫色になる(チアノーゼ)

COPDと全身への影響|高血圧・心不全などとの関連

COPDは肺だけの病気ではなく、全身にさまざまな影響を及ぼすことが分かっています。COPD患者さんでは、COPDではない喫煙者と比べて肺がんのリスクが約3倍高いとされ、COPD患者さんの主な死因のひとつにもなっています。

影響・併存疾患内容
心血管疾患高血圧症、心筋梗塞、狭心症、不整脈、脳血管障害など。COPD患者さんの約3割に心不全が併存するというデータもあります。
骨粗鬆症脊椎の圧迫骨折や大腿骨頸部骨折のリスクが高まります。
骨格筋機能障害・サルコペニア・フレイル筋力低下や加齢による衰弱(フレイル)を伴いやすく、日常生活の制限につながります。
代謝性疾患糖尿病、メタボリックシンドロームを併存しやすいとされています。
精神疾患不安・抑うつを伴うことがあります。

出典:厚生労働省 e-健康づくりネット「COPDハンドブック」(日本呼吸器学会 COPD診断と治療のためのガイドライン2022〔第6版〕に基づく)

日常生活の注意・予防|ワクチン接種も重要です

COPDは風邪やインフルエンザなどの感染症をきっかけに増悪しやすいため、感染予防が特に重要です。

  • 禁煙を徹底する
  • インフルエンザワクチンを毎年接種する
  • 肺炎球菌ワクチンを接種する(65歳未満でも慢性の呼吸器疾患がある方は対象です。当院にご相談ください)
  • 栄養バランスを整える(過度なやせ・肥満に注意。サルコペニア・フレイル予防にも重要)
  • 無理のない範囲での運動習慣を維持する
  • 室内の空気を清潔に保つ(換気・加湿)

出典:日本呼吸器学会「ストップ!肺炎」(インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの併用で、インフルエンザ罹患後の肺炎球菌性肺炎の重症化リスクを抑えることが期待できます)

当院での対応

薬師堂かたおかクリニックでは、呼吸機能検査による正確な診断と、症状に応じた吸入薬治療・呼吸リハビリ指導を行っています。また、禁煙支援プログラムも併設し、「息切れの少ない生活」を取り戻すサポートをしています。増悪時の対応や在宅酸素療法など、より専門的な管理が必要と判断した場合は、連携する高次医療機関へ速やかにご紹介しています。息苦しさや長引く咳・痰にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

COPDは治りますか?
完全に治すことは難しいですが、禁煙と適切な治療で進行を抑え、生活の質を大きく改善できます。
咳や痰が長く続くだけで受診した方がいいですか?
はい。特に喫煙者で3か月以上咳・痰が続く場合、早期の受診をおすすめします。早期に発見できれば、肺の負担を最小限に抑えることができます。
COPDと喘息はどう違うのですか?
COPDは喫煙などで肺が壊れる病気、喘息はアレルギーによる炎症が主体の病気です。診断の際、気管支拡張薬を吸入すると喘息では呼吸機能が改善しますが、COPDでは改善しないという違いがあります。ただし両方の特徴を併せ持つ「喘息合併COPD(ACO)」もあります。
COPDが急に悪化する「増悪」が起きたらどうすればいいですか?
息切れの悪化、咳・痰の増加、痰の色の変化などがみられたら早めに受診してください。安静にしていても息苦しい、会話が続けられない、意識がもうろうとする場合は、様子を見ずに救急受診してください。増悪を繰り返すとCOPDの進行が早まることが分かっているため、早期対応が重要です。
COPDは何歳から検査を受けた方がいいですか?
明確な年齢基準はありませんが、目安として1日1箱相当のたばこを10年以上吸っていた40歳以上の方はCOPDの可能性があります。健診で「肺年齢」や呼吸機能検査の異常を指摘された場合も、早めにご相談ください。

息苦しさや長引く咳・痰にお悩みの方はご相談ください

「これくらい大丈夫だろう」と自己判断せず、まずはお気軽にお電話ください

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