インフルエンザと新型コロナ感染症の隔離・出席停止期間はいつまで?
薬師堂かたおかクリニック 院長 片岡 尚之(かたおか たかゆき)
平成27年 大阪医科薬科大学卒業/同大学病院 初期研修修了/同大学 呼吸器外科 後期研修修了/市立ひらかた病院 呼吸器外科 医長・救急科 医長
インフルエンザ・新型コロナ感染症の専門医ではありませんが、救急科医長として発熱患者の初期対応を数多く経験してきました。学校や職場から「いつから登校・出勤してよいか」を尋ねられる場面にも日常的に対応しており、学校保健安全法や厚生労働省の指針に基づいた実務的なご案内を行っています。診断書・意見書のご相談にも、かかりつけ医として応じています。
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「熱が下がったらすぐ出勤・登校していいの?」「発症日は0日目、1日目どっち?」――インフルエンザや新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染した際、最も多くの方が悩まれるのが「外出自粛をいつまで続けるべきか」という点です。
当院では、学校保健安全法および厚生労働省の指針に基づき、複雑な待機期間を一目で判定できるシミュレーターをご用意しました。学校(お子さま)と社会人(職場)ではルールの性質が異なるため、それぞれ分けて解説します。
【隔離期間の比較】インフル・コロナは何日休めばいい?
インフルエンザでも新型コロナ感染症でも、幼児でも学童期でも大人でも、発熱が3日間以内であれば隔離期間は最短6日間です。ただし、学校か職場か、インフルエンザかコロナかによって、基準の法的な位置づけが異なります。
| 感染症 | 対象 | 隔離期間の基準 | 法的拘束力 |
|---|---|---|---|
| インフルエンザ | 学校(児童・生徒) | 発症後5日 かつ 解熱後2日 (幼児は解熱後3日) | あり (学校保健安全法施行規則) |
| インフルエンザ | 職場(成人) | 明確な規定なし (推奨:発症後5日かつ解熱後2日) | なし (企業規定による) |
| 新型コロナ | 学校(児童・生徒) | 発症後5日 かつ 症状軽快後1日 (5日目に症状継続なら軽快後まで延長) | あり (学校保健安全法施行規則) |
| 新型コロナ | 職場(成人) | 発症後5日 かつ 症状軽快後24時間 (5日目に症状継続なら軽快後まで延長) | なし (推奨のみ) |
出典:文部科学省 5文科初第345号(令和5年4月28日)、厚生労働省事務連絡(令和5年4月14日)
発症日・解熱日から解除予定日を計算する
当院では、学校保健安全法および厚生労働省の指針に基づき、複雑な待機期間を一目で判定できるシミュレーターをご用意しました。お子さま(保育園・幼稚園/小学生〜大学生)か社会人かを選んでいただくと、それぞれに合った基準で解除予定日を計算します。
【隔離解除の目安】パターン別に確認する
パターンA:2日目に解熱(発熱が3日間)
発熱後すぐに下がっても、一律の制限期間(5日間)があるため、全員6日目からの解除となります。
| 区分 | 0日 | 1日 | 2日 | 3日 | 4日 | 5日 | 6日 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 状態 | 発症 | 療養 | 解熱 | 安定 | 安定 | 安定 | 安定 |
| ①インフル(学生・大人) | 自粛 | 自粛 | 自粛 | 自粛 | 自粛 | 自粛 | 外出OK |
| ②インフル(幼児) | 自粛 | 自粛 | 自粛 | 自粛 | 自粛 | 自粛 | 外出OK |
| ③新型コロナ | 自粛 | 自粛 | 自粛 | 自粛 | 自粛 | 自粛 | 外出OK |
パターンB:3日目に解熱(発熱が4日間)
インフルエンザ(幼児)の場合のみ、解熱後の待機期間の影響で解除が1日遅れます。
| 区分 | 0日 | 1日 | 2日 | 3日 | 4日 | 5日 | 6日 | 7日 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 状態 | 発症 | 療養 | 療養 | 解熱 | 安定 | 安定 | 安定 | 安定 |
| ①インフル(学生・大人) | 自粛 | 自粛 | 自粛 | 自粛 | 自粛 | 自粛 | 外出OK | 外出OK |
| ②インフル(幼児) | 自粛 | 自粛 | 自粛 | 自粛 | 自粛 | 自粛 | 自粛 | 外出OK |
| ③新型コロナ | 自粛 | 自粛 | 自粛 | 自粛 | 自粛 | 自粛 | 外出OK | 外出OK |
パターンC:5日目に解熱(発熱が6日間)
発症から5日経っても熱がある場合は、解除日が大幅に後ろにずれます。
| 区分 | 0日 | … | 5日 | 6日 | 7日 | 8日 | 9日 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 状態 | 発症 | 継続 | 解熱 | 安定 | 安定 | 安定 | 安定 |
| ①インフル(学生・大人) | 自粛 | 自粛 | 自粛 | 自粛 | 自粛 | 外出OK | 外出OK |
| ②インフル(幼児) | 自粛 | 自粛 | 自粛 | 自粛 | 自粛 | 自粛 | 外出OK |
| ③新型コロナ | 自粛 | 自粛 | 自粛 | 外出OK※ | 外出OK | 外出OK | 外出OK |
※新型コロナの注意点(社会人向け)
6日目から外出可能となるのは、5日目の早朝までに解熱していた場合に限ります。5日目の朝〜昼以降に解熱した場合は、丸24時間を経過していないため、6日目の活動は見送るのが安全です。
上記の時間帯による判定は社会人向けの目安です。学校の児童・生徒等は、解熱した時間帯にかかわらず「解熱日を0日目として2日経過」(このケースでは7日目)を目安にしてください(学校保健安全法施行規則による法的基準)。
学校(お子さま)の出席停止に法的な決まりはある?
インフルエンザ・新型コロナのいずれも、幼稚園(保育園)〜大学生は「学校保健安全法施行規則による出席停止」の対象です。社会人にはこうした法的なルールはなく、企業の判断に委ねられます。
インフルエンザ(学校保健安全法施行規則)
「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」を出席停止期間の基準とすることが明記されています。以前からある、なじみのあるルールです。
新型コロナ(2023年5月改正・学校保健安全法施行規則)
新型コロナウイルス感染症は、2023年5月8日の感染症法上の位置づけ変更にあわせ、学校においては第二種の感染症に追加され、「発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまで」が出席停止期間の法的な基準として新たに定められました。この「症状が軽快した後1日」は、インフルエンザの数え方と同じく日単位で、時間帯による区別はありません。
| 項目 | インフルエンザ | 新型コロナ |
|---|---|---|
| 学校の規定 | 学校保健安全法施行規則で規定 | 学校保健安全法施行規則で規定 (発症後5日かつ症状軽快後1日) |
| 職場の規定 | 各企業の就業規則による※ | 各企業の就業規則による※ |
| 最短療養日数 | 6日間(発症日含む) | 6日間(発症日含む) |
| 延長の可能性 | 解熱が遅れると延長 | 解熱が遅れると延長 |
※幼稚園(保育園)〜大学生は「学校保健安全法施行規則による自宅待機の指示」がありますが、社会人にはそういったルールはないので「企業による判断」が適応されます。
出典:文部科学省 5文科初第345号(令和5年4月28日)
社会人(職場)の療養に決まりはある?
2023年5月8日以降、新型コロナ・インフルエンザいずれについても、社会人には法律に基づく外出自粛は求められません。外出を控えるかどうかは個人の判断となりますが、厚生労働省は以下を推奨として示しています。
- 発症後5日間は外出を控える
- 5日目に症状が続く場合は、症状軽快後24時間程度が経過するまで様子を見る
- 解除後も発症から10日間は、不織布マスクの着用やハイリスク者との接触を控える
職場に証明書等の提出を求められる場合は、就業規則に従ってください。法的な強制力がない分、職場ごとに対応が異なりますので、不明な点は勤務先にご確認ください。
コラム:文部科学省と厚生労働省で新型コロナの基準が違うのはなぜ?
同じ新型コロナ感染症なのに、学校(お子さま)は「症状軽快後1日」、社会人は「症状軽快後24時間」と、数え方が異なります。これは所管する省庁と、ルールの性質が違うためです。
文部科学省:学校は「日単位」で統一
学校保健安全法施行規則は、児童・生徒等が集団で生活する学校を対象とした法的な出席停止基準です。多くの児童・生徒等に一律に適用し、現場(学校)が迷わず判断できるようにする必要があるため、発症日・解熱日を基準に「日」単位で数えるシンプルなルールになっています。2023年5月の改正で、新型コロナも従来のインフルエンザと同じ考え方(起算は翌日から、時間帯を問わない)で「症状が軽快した後1日を経過するまで」と定められました。
厚生労働省:社会人は「時間単位」の推奨
2023年5月8日以降、新型コロナは感染症法上の位置づけが変わり、社会人を含む国民全体に法律に基づく外出自粛を求める根拠がなくなりました。そのため厚生労働省は、個人の判断に資する情報として「推奨」を示すにとどめています。その内容は、専門家が示したウイルス排出量の分析(発症後3日間は排出量が非常に多く、5日目以降に大きく減少する)を踏まえたもので、学校のような一律運用ではなく、個々の状況に即した「症状軽快後24時間」という時間単位の基準になっています。
つまり、学校に通うお子さまか、社会人かによって、法的な位置づけ(法的拘束力の有無)も、数え方(日単位か時間単位か)も異なるという点が、混乱しやすいポイントです。本ページのシミュレーターでは、対象を選んでいただくことで、それぞれに合った基準で自動的に計算されます。
出典:文部科学省 5文科初第345号(令和5年4月28日)、厚生労働省事務連絡(令和5年4月14日)
【ポイント】日数の数え方・症状軽快の判断
日数の数え方
- どちらも「発症当日は0日目」とする。
- 周囲の人間から「5日間隔離」と言われたら、「発症した日を含めずに5日間という意味なので、実質6日間が隔離期間」という解釈になる。
- 症状軽快後の計算について、インフルエンザは日にち毎(つまり、月曜の昼か夜どちらに解熱しても、火曜日になれば1日経過したことになる)です。新型コロナ感染症は、学校(お子さま)の場合はインフルエンザと同じ日にち毎の数え方ですが、社会人向けの推奨は24時間(時刻)単位という違いがあります(理由は前述の「コラム」で解説しています)。
「症状軽快」とは
- 解熱剤を使用せずに解熱している(体温の目安として37.5℃未満。国の基準に具体的な数値の定めはありません)。
- 感冒症状(咳、のどの痛みなど)が改善傾向にある。
上記2点で判断しますが、「発熱がなくなっていればOK、多少の咳症状は許容している」のが実状です。
陰性証明書は必要?無症状の場合はどう数える?
陰性証明書・検査結果証明書は不要
出席停止の期間を経て登校・登園する際、学校に陰性証明書を提出する必要はありません。療養を開始する際も、医療機関が発行する検査結果証明書は不要です。職場についても、証明書提出を法的に義務付けるルールはありませんが、就業規則で求められる場合は勤務先の指示に従ってください。
無症状の場合は「検体を採取した日」を0日目とする
症状がないまま検査で陽性が判明した場合は、発症日の代わりに検体を採取した日を0日目として日数を数えます。その後に症状が出た場合は、発症した日を新たに0日目として計算し直します。
まとめ
インフルエンザ・新型コロナともに、最短の療養期間は発症日を含めて6日間です。学校に通うお子さまについては、インフルエンザ・新型コロナのいずれも学校保健安全法施行規則に基づく法的な出席停止期間があり、時間帯によらない日単位の数え方をします。一方、社会人の療養期間は法的な強制力のない推奨にとどまり、新型コロナについては解熱した時間帯まで考慮する24時間単位のルールになる点が異なります。迷ったときは、まずシミュレーターで目安を確認し、不明な点はかかりつけ医にご相談ください。
当院での対応
薬師堂かたおかクリニックでは、インフルエンザ・新型コロナウイルス感染症の検査・診断から、登校・出勤の目安に関するご相談まで、かかりつけ医として対応しています。学校・職場提出用の意見書が必要な場合もご相談ください。専門的な合併症の評価が必要と判断した場合は、連携する医療機関へ速やかにご紹介します。
よくある質問(FAQ)
隔離期間はどう数えますか?
新型コロナの「症状軽快」とは?
解熱後すぐに登校できますか?
社会人の隔離に法的拘束力は?
新型コロナで学校を休む期間にも法的な決まりはありますか?
登校・出勤の際に陰性証明書は必要ですか?
- 文部科学省 5文科初第345号「学校保健安全法施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知)」(令和5年4月28日)
- 厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部 事務連絡「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付け変更後の療養期間の考え方等について」(令和5年4月14日)
- 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について」
※本記事は、上記資料を参考に医師が内容を精査し作成しています。
月〜土診療 / 京都府長岡京市今里西ノ口7-1


















