冷えのメカニズムと正しい向き合い方
薬師堂かたおかクリニック 院長 片岡 尚之(かたおか たかゆき)
平成27年 大阪医科薬科大学卒業/同大学病院 初期研修修了/同大学 呼吸器外科 後期研修修了/市立ひらかた病院 呼吸器外科 医長・救急科 医長
手足の冷えは女性に多いありふれた症状ですが、その裏に甲状腺機能低下症や閉塞性動脈硬化症、膠原病といった治療が必要な病気が隠れていることもあります。かかりつけ医として問診・血液検査などによる全身状態の確認を行い、専門的な精査や治療が必要と判断した場合は、連携する内分泌代謝内科・循環器内科・血管外科・リウマチ膠原病内科などへおつなぎしています。
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「手足が氷のように冷たい」「靴下を重ねてもなかなか温まらない」――多くの方、特に女性が抱えるこの悩みは、体質の問題として片付けられがちです。しかし冷えの背景には、体の中で「熱の供給ライン」がうまく機能していない状態があり、まれに治療が必要な病気が隠れていることもあります。
長岡京市の薬師堂かたおかクリニックでは、かかりつけ医として問診や血液検査などから冷えの原因を確認し、体質的なものか、専門的な治療が必要なものかを見極めています。「たかが冷え」と思わず、気になる症状があれば当院にご相談ください。
冷えのメカニズムと正しい向き合い方
手足の冷えを理解するには、まず体が体温をどう調整しているかを知ることが役立ちます。
手足が冷たくなる「体の防衛本能」とは
私たちの体は、常に内臓の温度を約37℃に保とうとしています。これは「家全体を暖めるヒーター」のようなもので、外気温が下がったり強いストレスがかかったりすると、脳や内臓など生命維持に重要な部分を優先的に温めるため、手足など末端の血管を収縮させます。いわば「温かい血液の通行制限」が起こることで、手足が冷たく感じられるのです。これは体を守るための正常な防衛反応ですが、この状態が慢性的に続くと、日常生活に支障をきたす「冷え」として自覚されるようになります。
冷えを引き起こす主な要因
1. 自律神経の乱れ(コントロールタワーの不調)
生活リズムの乱れやストレス、冷房による室内外の温度差は、体温調節の司令塔である自律神経を疲弊させます。その結果、血液供給を調整するスイッチがうまく機能しなくなり、冷えを感じやすくなります。
2. 筋肉量の不足(熱を作る工場の不足)
体で作られる熱の約6割は筋肉から生み出されるといわれています。筋肉は熱を生み出す「工場」であるため、その量が少ない女性や、加齢とともに基礎代謝が低下しやすい高齢者は、特に冷えを感じやすい傾向があります。
3. 食生活とエネルギー代謝
過度なダイエットや偏った食生活は、熱を生み出すために必要な「燃料」そのものを不足させます。また、治療のために服用している降圧薬の中には、血管を広げる作用によって冷感を強く感じさせるものもあります。
手足の冷えは何科を受診すればよい?
手足の冷えは体質的なものと片付けられがちですが、症状の背景に甲状腺機能低下症や閉塞性動脈硬化症、膠原病などの病気が隠れていることがあります。まずは内科(かかりつけ医)を受診し、問診や血液検査、必要に応じて血管の検査を行うことで、体質的な冷えなのか、治療が必要な病気によるものかを見極めることが大切です。
当院での問診・検査の結果、より専門的な診断・治療が必要と判断した場合は、内分泌代謝内科・循環器内科・血管外科・リウマチ膠原病内科など、症状に応じた専門機関をご紹介しています。「何科に行けばいいか分からない」という場合も、まずはかかりつけ医としてご相談ください。
注意すべき背景疾患|冷えの裏に隠れていることがある病気
以下のような病気が、冷えの症状として表れることがあります。
| 疾患名 | 特徴 |
|---|---|
| 甲状腺機能低下症 | 全身の代謝を司るホルモンが減少する病気。冷えのほか、むくみ、倦怠感、体重増加などを伴うのが特徴です |
| 閉塞性動脈硬化症 | 足の血管が動脈硬化によって狭くなる病気。冷えのほか、歩くとふくらはぎが痛み、休むと楽になる「間欠性跛行」が特徴です |
| 膠原病(レイノー現象) | 寒冷刺激で指先の色が白、紫、赤と段階的に変化する病気。全身性強皮症などの膠原病の初発症状であることが多いとされています |
| 貧血 | 酸素を運ぶヘモグロビンが不足し、効率よく熱を作れなくなっている状態です |
これらの病気は血液検査や画像検査によって確認できるものが多く、気になる症状がある場合は自己判断せず、医療機関での検査をおすすめします。
手足の冷えのセルフチェック|見逃せない危険なサイン
以下のようなサインがある場合は、体質的な冷えではなく病気が隠れている可能性があるため、早めに医療機関を受診してください。
- 片方の足だけが極端に冷たい
- 指先の色が白、紫、赤と段階的に変わる
- 冷えだけでなく、手足に痛みやしびれを伴う
- 歩くとふくらはぎが痛み、休むと楽になる
- 冷えとともに、急激な体重増加や強い脱力感がある
日常生活でできる3つの対策
1. 「第2の心臓」を動かす
ふくらはぎの筋肉を動かすことで、足元に滞った血液を心臓へ押し戻すことができます。座り仕事の合間に、かかとの上下運動を取り入れるのが効果的です。
2. 3つの「首」を温める
首、手首、足首は、太い血管が皮膚に近い場所を通っています。これらの部位を保温することで、効率よく冷えを防ぐことができます。
3. タンパク質と水分を意識する
熱源となる筋肉の材料であるタンパク質をしっかり摂取しましょう。また、常温以上の水分をこまめに摂ることも血流の改善に役立ちます。
よくあるご質問(FAQ)
手足の冷えは何科を受診すればいいですか?
手足の冷えのセルフチェック方法はありますか?危険なサインを教えてください。
お風呂に入っても、上がるとすぐに冷えてしまいます。
靴下を何枚も重ねて寝るのは良いですか?
漢方薬は冷えに効きますか?
- 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ(厚生労働省研究班監修)「冷え」
- 一般社団法人 日本内分泌学会「甲状腺機能低下症」
- 国立循環器病研究センター「閉塞性動脈硬化症」
- 難病情報センター「全身性強皮症(指定難病51)」
※本記事は、上記資料を参考に医師が内容を精査し作成しています。
月〜土診療 / 京都府長岡京市今里西ノ口7-1





