皮膚のかゆみ・湿疹
薬師堂かたおかクリニック 院長 片岡 尚之(かたおか たかゆき)
平成27年 大阪医科薬科大学卒業/同大学病院 初期研修修了/同大学 呼吸器外科 後期研修修了/市立ひらかた病院 呼吸器外科 医長・救急科 医長
皮膚そのものの精密な検査・診断は皮膚科の専門領域となるため、当院では専門外を装わず、かかりつけ医の立場から、かゆみ・湿疹の背景にある全身の状態(肝臓・腎臓の機能、糖尿病などの生活習慣病、薬剤の副作用など)を確認します。アトピー性皮膚炎や慢性的な湿疹など皮膚科的な精査・治療が必要と判断した場合は、連携する皮膚科専門医療機関へ速やかにご紹介しています。
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「かゆくて眠れない」「同じ場所を何度もかいてしまう」――繰り返す皮膚のかゆみや湿疹は、乾燥や汗など身近な刺激が原因のこともあれば、薬剤の副作用や、肝臓・腎臓の病気、糖尿病など体の内側からのサインであることもあります。
長岡京市の薬師堂かたおかクリニックでは、かかりつけ医の立場から、問診・血液検査などでかゆみの背景にある全身の状態を確認します。アトピー性皮膚炎など皮膚科的な精査・治療が必要と判断した場合は、連携する皮膚科専門医療機関へご案内していますので、「何科に行けばいいか分からない」という段階でもお気軽にご相談ください。
その皮膚のかゆみ、危険なサインかもしれません|今すぐ受診すべき症状のセルフチェック
かゆみの多くは自宅でのケアや外用薬で改善しますが、中には早期の受診が必要なサインが隠れていることがあります。以下に1つでも当てはまる場合は、様子を見ずに医療機関を受診してください。
- 全身に広がる「赤い斑点」や「紫斑(紫色のあざのような斑点)」がある
- 強い痛みやピリピリ感を伴う水ぶくれが、体の片側に帯状に広がっている(帯状疱疹の可能性)
- 息苦しさや、唇・まぶたの腫れを伴う(アナフィラキシーの可能性)
- 皮膚や白目が黄色くなる「黄疸」を伴う
- 夜も眠れないほどの強いかゆみが続く
厚生労働省によると、帯状疱疹は過去にかかった水痘のウイルスが再活性化することで、神経に沿って体の左右どちらか一方に、痛みを伴う水ぶくれが帯状に現れる病気です。皮膚症状が治った後も痛みが残る「帯状疱疹後神経痛」を残すことがあるため、水ぶくれに気づいたら早めの受診が重要です。
厚生労働省の資料では、アナフィラキシーの症状として「まぶたや唇の腫れ」「息苦しさ」などが挙げられており、こうした症状を疑う場合は直ちに救急車で医療機関を受診するよう案内されています。かゆみとともにこれらの症状が急に現れた場合は、様子を見ずに救急要請を検討してください。
かゆみのメカニズム
私たちの皮膚には、外敵の侵入を知らせる「警報器(知覚神経)」が張り巡らされています。通常、この警報器は肌の奥深くに隠れていますが、湿疹が起きている肌では表面近くまで伸びてきてしまいます。例えるなら、「少しの風が吹いただけで鳴り響く、防犯感度が最大になった家」のような状態です。健康な肌なら気にならない「服のタグ」や「自分の汗」といった微細な刺激に対しても、脳へ「かゆい!」という電気信号を送り続けてしまうのです。
かゆみと湿疹を深掘りする:4つの主な要因
同じ「かゆみ」でも、その裏にある原因は一つではありません。代表的な4つの要因を解説します。
① バリア機能の「物理的崩壊」
皮膚の表面にある角質層は、レンガとセメントのように組み合わさって外敵を防いでいます。乾燥:セメント(細胞間脂質)が不足するとレンガがバラバラになり、隙間から花粉やダニ、細菌が侵入します。加齢:個人差はありますが、40代以降は皮脂の分泌量が低下しやすくなるといわれています。特にスネや背中のかゆみは、この油分不足が一因です。
② 免疫細胞の「過剰防衛」
侵入者を検知すると、皮膚の下にある免疫細胞が「ヒスタミン」などの化学物質を放出します。これが血管を広げ、皮膚を赤く腫れさせ(湿疹)、神経を直接刺激して強いかゆみを引き起こします。アトピー性皮膚炎などは、この防衛反応が特定の物質に対して過剰に、かつ継続的に働いてしまう状態です。日本皮膚科学会・日本アレルギー学会のガイドラインでも、皮膚のバリア機能低下と免疫反応の両方がアトピー性皮膚炎の発症に関わるとされています。
③ 薬剤による「時間差の反応」
意外と見落とされがちなのが、薬剤の影響です。塗り薬や飲み薬を使い始めてすぐに症状が出るとは限りません。厚生労働省の資料でも、薬剤による接触皮膚炎(かぶれ)は、使ってすぐに「ひりひりする」「赤くなる」場合もあれば、しばらく経ってから急にかゆみや赤み、ぶつぶつが出てくる場合もあるとされています。これは、体がその薬剤を「異物」と認識するまでに時間がかかるためです。心当たりのある薬剤を使っている場合は、自己判断で中止せず医師・薬剤師に相談してください。
④ 内臓からの「SOSサイン」
皮膚は「内臓の鏡」とも呼ばれます。肝臓・腎臓:通常は尿や便として排出されるはずの老廃物が血液中に溜まると、それが末梢神経を刺激し、激しいかゆみ(難治性のかゆみ)を招くことがあります。糖尿病:高血糖状態は肌を乾燥させやすくし、さらに神経障害によって感覚が過敏になることで、慢性的なかゆみを引き起こします。日本皮膚科学会の皮膚瘙痒症診療ガイドラインでも、肝・胆道系疾患や糖尿病などの内科的な病気が、皮膚に異常がなくても全身のかゆみを引き起こす原因として挙げられています。
皮膚のかゆみは何歳から気をつければよい?
日本皮膚科学会の皮膚瘙痒症診療ガイドラインでは、加齢そのものに伴うかゆみが「加齢性皮膚瘙痒症」として分類されており、皮脂の減少や皮膚のバリア機能低下が背景にあるとされています。40代以降は皮脂が減りやすくなるためスネや背中などの乾燥によるかゆみが出やすくなり、高齢になるほど肝・腎機能の低下や糖尿病など内臓の病気が背景にあるかゆみの頻度も高まります。年齢を重ねてから急にかゆみが増えた、または続くと感じる場合は、一度ご相談ください。
皮膚のかゆみ・湿疹は何科を受診すればよい?
湿疹やアトピー性皮膚炎など、皮膚そのものの診断・治療が中心になる場合は皮膚科が専門です。一方で、皮膚に目立った異常がないのにかゆみが続く場合や、だるさ・むくみなど他の症状を伴う場合は、肝臓・腎臓・糖尿病など内科的な病気が背景にあることもあるため、まずはかかりつけの内科で全身状態を確認してもらうのも一つの方法です。
「何科に行けばいいか分からない」というときこそ、まずはかかりつけ医にご相談ください。
日常生活でできる「肌の再構築」
- 洗浄の「引き算」:石鹸で洗いすぎるのは、天然のバリア(皮脂)を削り取ることと同じです。かゆみが強い部位はお湯で流す程度にし、洗浄力の優しいものを選びましょう
- 温度のコントロール:かゆみを感じる神経は熱に敏感です。入浴後の体温上昇はかゆみを増幅させるため、ぬるめのお湯に浸かり、上がった後はすぐに保湿を行ってください
- 環境の調整:湿度が50%を下回ると、肌の水分蒸発が加速します。加湿器の活用や、肌に直接触れる衣類を綿などの低刺激な素材に変えることも有効です
当院での対応
初診では、かゆみが出始めた時期や部位、強くなるタイミング、服用中の薬や持病について詳しくお伺いします。皮膚の状態を診察したうえで、必要に応じて肝機能・腎機能・血糖値などを調べる血液検査を行い、内臓の病気や薬剤が背景にないかを確認します。
検査の結果、皮膚そのものの診断・治療が必要な場合や、アトピー性皮膚炎など皮膚科的な精査が必要と判断した場合は、連携する皮膚科専門医療機関へ速やかにご紹介しています。「たかがかゆみ」と我慢せず、繰り返すかゆみや湿疹でお困りの際は、まず当院にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
皮膚のかゆみ・湿疹は何科を受診すればいいですか?
かゆいところを冷やすのは効果がありますか?
市販の塗り薬を使い続けても治りませんが、なぜでしょうか?
血液検査をすれば、かゆみの原因はすべて分かりますか?
何歳頃からかゆみを感じやすくなりますか?
かき壊して跡が残るのが心配です。きれいに治りますか?
- 公益社団法人 日本皮膚科学会「皮膚瘙痒症診療ガイドライン2020」
- 公益社団法人 日本皮膚科学会・一般社団法人 日本アレルギー学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024」
- 厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル:薬剤による接触皮膚炎(患者の皆様へ)」
- 厚生労働省「帯状疱疹ワクチンについて」
- 厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル:アナフィラキシー(患者の皆様へ)」(令和8年2月改定)
※本記事は、上記資料を参考に医師が内容を精査し作成しています。
月〜土診療 / 京都府長岡京市今里西ノ口7-1





