眠れない(不眠)
薬師堂かたおかクリニック 院長 片岡 尚之(かたおか たかゆき)
平成27年 大阪医科薬科大学卒業/同大学病院 初期研修修了/同大学 呼吸器外科 後期研修修了/市立ひらかた病院 呼吸器外科 医長・救急科 医長
不眠は生活習慣の乱れだけでなく、高血圧・心臓病・呼吸器疾患(睡眠時無呼吸症候群など)や、うつ病といったこころの病気が背景にあることもあります。精神科・睡眠専門医ではありませんが、内科・救急科での診療経験から、不眠の背景にある身体疾患の可能性を意識した問診・診察を行っています。かかりつけ医として全身状態を確認し、精神的な要因が強く疑われる場合や本格的な不眠症治療が必要と判断した場合は、連携する心療内科・精神科・睡眠外来などへおつなぎしています。
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布団に入ってもなかなか寝つけない、夜中に何度も目が覚める、まだ暗いうちに目が覚めてしまう――「眠れない」という悩みは、多くの方が一度は経験するものです。一時的なストレスによるものであれば心配のいらないケースも多いですが、中には身体の病気やこころの病気が背景にある不眠、治療が必要な「不眠症」であることもあります。
長岡京市の薬師堂かたおかクリニックでは、かかりつけ医として問診や血液検査などから全身状態を確認し、専門的な精査や治療が必要と判断した場合は、連携する心療内科・精神科・睡眠外来などへご案内しています。「そのうち治るだろう」と我慢を続けず、気になる不眠が続く場合はご相談ください。
その不眠、危険信号かもしれません|今すぐ受診すべきサイン
不眠の多くは一時的なものですが、中には早めの受診が必要なケースがあります。以下のサインが1つでも当てはまる場合は、様子を見ずに医療機関を受診してください。
- 日中の強い眠気で居眠り運転をしそうになった、生活に支障が出ている
- 気分の落ち込みが強い、「消えてしまいたい」といった気持ちがある
- 家族などから、眠っている間の激しいいびきや呼吸が止まっていることを指摘された
- 予定していた時間より2時間以上早く目が覚めてしまい、その後眠れない(早朝覚醒)
- 不眠が週3日以上のペースで、1ヶ月以上続いている
激しいいびきや呼吸停止を指摘された場合は睡眠時無呼吸症候群、気分の落ち込みが強い場合はうつ病などのこころの病気が背景にある可能性があります。国立精神・神経医療研究センターによると、不眠が週3日以上・1ヶ月以上続く場合は治療が必要な慢性不眠症に該当することがあるとされています。
「これくらい大丈夫」と我慢を続けてしまう方も多いですが、早期に原因を調べることで、背景にある病気を早く見つけられることもあります。少しでも不安を感じたら、当院にご相談ください。
眠れないときの体内メカニズム:脳の「アイドリング」状態
睡眠と覚醒は、自律神経によってコントロールされています。日中は「活動モード」の交感神経が優位になり、夜間は「休息モード」の副交感神経が優位に切り替わることで、自然な眠気が訪れます。
不眠状態は、いわば「エンジンを切ったはずなのに、アクセルが踏まれ続けてアイドリングが止まらない状態」です。本来なら鎮まるはずの脳の覚醒に関わる仕組み(オレキシンなど)が過剰に働き続けたり、眠気を促すホルモンであるメラトニンの分泌リズムが乱れたりすることで、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりします。
なぜ眠れないのか?考えられる主な原因
不眠の原因は一つとは限らず、複数が重なっていることも少なくありません。
1. 心理的・物理的なストレス
環境の変化や人間関係の悩みといった心理的ストレスに加え、枕の高さや室温、寝具の硬さなどの物理的な刺激も、脳を緊張状態にさせ、寝つきを妨げます。
2. 生活習慣とリズムの乱れ
就寝前のスマートフォンのブルーライトや、夕方以降のカフェイン・アルコールの摂取は、睡眠の質を下げる代表的な要因です。特にアルコールは寝つきを良くするように感じても、数時間後には交感神経を刺激し、かえって中途覚醒の原因になります。
3. お薬の影響(薬剤性不眠)
降圧剤やステロイド、喘息治療薬など、一部のお薬は交感神経を刺激する作用があり、不眠につながることがあります。心当たりのある方は、お薬手帳を持って受診時にご相談ください。
4. 隠れた疾患(身体的・精神的)
睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群といった身体の病気、うつ病・不安障害などのこころの病気が不眠の背景にあることもあります。生活習慣を見直しても改善しない不眠は、こうした疾患のサインである可能性があります。
その不眠は一時的?それとも「不眠症」?セルフチェック方法
国立精神・神経医療研究センターによると、一時的なストレスによる不眠と異なり、治療が必要な「慢性不眠症」は、次のような特徴があるとされています。ご自身の状態と照らし合わせてみてください。
- 頻度・期間:不眠が週3日以上のペースで、1ヶ月以上(目安として3ヶ月以上)続いている
- 日中の不調:夜間の不眠だけでなく、日中の倦怠感・意欲低下・集中力低下・食欲低下など、生活の質の低下を伴っている
- 寝床で過ごす時間:眠れないからと長時間布団の中で過ごしていないか(かえって眠りが浅くなる原因になります)
- 日中の活動量:活動量が減ると夜の睡眠の質も落ちやすくなります
上記に当てはまる場合や、生活習慣を見直しても不眠が改善しない場合は、自己判断で市販薬や寝酒に頼り続けず、医療機関にご相談ください。
不眠は何科を受診すればよい?診断の流れ
不眠の原因は生活習慣・身体の病気・こころの病気と幅広いため、まずは「内科」など、かかりつけ医への相談をおすすめします。全身の状態を確認したうえで、精神的な要因が強く疑われる場合や、本格的な不眠症治療(認知行動療法など)が必要と判断した場合は、心療内科・精神科・睡眠外来といった専門の診療科と連携して治療を進めていくのがスムーズです。
診断の流れ
- 問診:不眠のタイプ(寝つきが悪い/夜中に目が覚める/早朝に目が覚める)、頻度・期間、日中の不調の有無を確認します
- 生活習慣の確認:就寝・起床時間、カフェイン・アルコールの摂取状況、スマートフォンの使用状況などを伺います
- お薬手帳の確認:降圧剤など、不眠を起こしやすい薬剤の有無を確認します
- 身体の病気の除外:血液検査などで、甲状腺の異常や心臓・呼吸器の病気など、不眠の背景にある身体疾患がないかを確認します
- 専門的な治療の要否判断:睡眠時無呼吸症候群やうつ病などが疑われる場合は、連携する医療機関での精密検査をご案内します
今日から取り組める「睡眠の質」改善策
病気が原因ではないと確認できた場合、以下のような生活習慣の見直しで不眠の軽減が期待できます。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、生活リズムを整えることの重要性が示されています。
- 起床直後に日光を浴びる(体内時計をリセットし、夜の自然な眠気につなげます)
- 入浴は就寝の90分ほど前に済ませる(体温が下がるタイミングで眠気が訪れやすくなります)
- 布団に入って20分以上眠れなければ、一度布団から出る(「眠れない布団」という意識を作らないため)
- 夕方以降のカフェイン・アルコールを控える
- 昼寝をする場合は午後3時までに15〜30分程度にとどめる
ただし、生活習慣を見直しても不眠が続く場合や、日中の不調が強い場合は、自己判断を続けずに医療機関を受診してください。
よくあるご質問(FAQ)
不眠は何科を受診すればいいですか?
どのくらい不眠が続いたら受診すべきですか?
寝酒をすればよく眠れるようになりますか?
睡眠薬を飲み始めると、一生やめられなくなりますか?
昼寝をした方がいいですか?
※本記事は、上記資料を参考に医師が内容を精査し作成しています。
月〜土診療 / 京都府長岡京市今里西ノ口7-1





